【中級者以上・中高生・受験生向け】調弦の精度は運命を分ける!ワンランク上のヴァイオリン調弦テクニック
調弦はチューナーで合わせてるから大丈夫!
よし、今日も完ぺき。
そう思っていませんか?
調弦の精度は耳の力そのもの。
練習前の調弦、舞台での調弦、音叉の使い方、ペグでの微調整…すべてが演奏の質に直結します。
今回は 音高・音大受験を目指す中高生や、ステージに立つ機会が増えてきた人 に向けて、上級者に近づくための調弦テクニックをまとめました。
どれも耳を育てるための実践的な習慣ばかりですので、ぜひチェックしてくださいね。
調弦を制する者はヴァイオリンを制す!?
本当に上手な人は、調弦の精度が高いです。
そっか。ヴァイオリンがきれいに響くから、さらに上手に聴こえるんだね!
調弦を聴けば、その人がどんな演奏をするか概ねわかります。
コンクールや受験では第一印象そのものですから、調弦が運命を左右すると言っても過言ではありません。
言い換えれば、調弦が雑な人は、どんなに練習しても響きが整いません。
楽器の美しい響き(=持ち味)を最大限引き出せてない、ってことになるね。
つまり、ヴァイオリンがちょっと上手になってきたら、日常の調弦の質を、徹底的に高める必要があります。
ヴァイオリンの調弦が難しい理由
ヴァイオリンの調弦は、次の4動作が複雑に絡み合うため、難しく感じてしまうのです。
- 2つの音(基準音とバイオリンの響き)を聴いて合わせる
- 2弦を同時にバランス良く鳴らす
- 弓を動かしながらアジャスターを回す
- ペグを回す
わぁ!パニックになりそう!
でも、練習を重ねれば必ず身につきます。
1つずつチャレンジしてくださいね!
純正5度を感じて調弦しよう
ヴァイオリンの調弦は、初歩の段階では1弦ずつチューナーに合わせますが、一般的には A線のみ基準音に合わせ、残りの弦は2弦ずつ同時に弾きながら調整 します。
目じゃなくて、耳を使うんだね!
分数楽器と大人の初心者は、全ての弦でアジャスターを使いましょう。
- A線を基準音に合わせる
- A線・D線を同時に弾き、D線を調整
- D線・G線を同時に弾き、G線を調整
- A線・E線を同時に弾き、E線を調整
- 軽く2〜4を繰り返して最終確認
このとき、それぞれの2弦が「純正な完全5度」に響くように調整しなければなりません。
純正な完全5度ってなあに?
子どもでもわかるかなぁ?
心配だ…。
純正な完全5度は、山の湧き水のように濁りがなく澄んだ響き がします。
水道水並みに綺麗に合ってても「まだまだ!」なんですね。
合ってない5度と、本当に調和した5度を聴き比べてもらうと、初心者でもほとんどの方が違いを実感できます。
それほどまでに大きな違いです。
究極に美しい響きを追究しましょう!
ペグ調弦をマスターしよう!:中級者以上は必須の技術
フルサイズのヴァイオリンでは、(初心者を除き)基本的にペグで調弦します。
プロがアジャスターを使うのは、E線だけです。
4分の3サイズを使う頃から少しずつ、ペグ調弦に挑戦してみましょう。
コツは ペグを中に押し込みながら回すこと。
蛇口をひねる動きにも似ています。
ペットボトルの蓋を左手で開けるのも練習になりますね。
そういえば最近、ひねるタイプの蛇口ってあんまり見ないね。
ばーちゃん家にあるぜ!
でもそう言えば最近リフォームしてたわw
・・・。
狂って無くても、毎日少しペグを回してみましょう。
心配な人は、レッスンの時に先生と一緒にチャレンジしてくださいね。
チューナーを「卒業」しよう
チューナーは初心者には便利な道具ですが、上達を目指すなら、早めに「卒業」を意識しましょう。
どうして?
チューナーの音は機械的で、響きが無いためです。
調弦は、ヴァイオリンの美しい響きを最大限引き出すために行うものでしたよね。
では、美しく響くのはどんな時でしょうか?
えーっと・・・・
弓で弦を擦ってる時じゃなくて、弓を弦から離した後かな?
正解!
ヴァイオリンは、弓を弦から離した時に最も美しく響きます!
なので、チューニングは、弓を弦から離した時=響きがいい感じになるように調整するのです。
つまり、
チューナーが発するのっぺりした響きの無い音と
弓で弦を擦っている音を合わせるだけでは
誤差が出る
てこと。
音が出ている瞬間だけでなく、響き方に注目するようにしましょう。
響きを基準に調弦する耳を育てる上で効果的な方法は、
チューナーだけでなく、ピアノや音叉に合わせる練習です(後述します)。
少しずつ取り入れてくださいね。
ヴァイオリンは、弓で弦を擦ってる時と弓を弦から離した後では、微妙にピッチが違います。
ピアノを使った調弦
ホールで演奏する時は、ピアノのA音(ラ)の響きに合わせるケースが大半です。
アコースティックなピアノの響きに慣れておきましょう。
家にピアノが無い場合は、レッスンの時間やスタジオの活用がおススメです。
ピアノの「音」でなく「響き」を意識して聴きましょう。
つまり、上級者になればなるほど、電子ピアノでの調弦はお奨めできません。
舞台での調弦マナー
舞台での調弦は、演奏の一部です。
スマートに行いましょう。
調弦の所作が整っているだけで、演奏全体の印象もぐっと良くなります。
- 舞台袖でしっかり合わせ、舞台上では最終確認のみ
- アップボウ・弱音で
- ササッと、コソッと。調弦中は背中を向けてもOK
コンクールで調弦を見ていると、緊張でうまくペグが回せなくて、なかなか合わなくて、最終的に合ってないケースが見受けられます。
演奏において「本番では練習の出来が100%発揮されることは無い」という話がありますが、調弦も同じです。
良くも悪くも、発表会やコンクールは普段の習慣が表れるだけだよw
弦の種類で変わる?調弦の練習回数:ガット・ナイロン・スチールの違い
ヴァイオリンの弦は大まかに3種類あり、それぞれ特性があります。
- ガット弦 … 音色は最高。気温・湿度で狂いやすくコントロールも難しいが、技術レベルアップに大いに貢献してくれる。値段は高いが長持ち。
- ナイロン弦 … 安定性が高く、初心者〜中級者には安心。ガット弦よりは安価。
- スチール弦 … 明るい音色で狂いにくいが、響きはやや硬め
ガット弦は、狂いやすいぶん、調弦で耳を育てる練習機会が増えます。
ナイロン弦は安定と引き換えに、調弦の練習をする機会は減ります。
どう考えるかは、あなた次第です。
職人さんや先生に話を聞いてみることをおススメします。
まとめ:調弦の質を高めて演奏をワンランクアップ
ヴァイオリンが少し上手になってきた人にとって、調弦は単なる準備でなく、演奏を支える基礎です。
- 音感と耳を育てる訓練
- 舞台マナーの一部
- 信頼できる演奏の土台
日々の調弦クオリティを上げて、ワンランク上の演奏を目指しましょう!
👉 関連記事はこちら(公開され次第、こちらのページからリンクを貼ります!)
・調弦トラブル解決編
千葉県流山市のヴァイオリン・ソルフェージュ教室ホームページはこちらから。
基礎から丁寧に学び、音楽を人生の友にすることをサポートします。オンラインレッスンあり。
ソルフェージュ・ヴァイオリン・オンラインレッスンの詳細にジャンプします。
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。都立芸術高校・東京藝大をヴァイオリンで卒業後、東京藝大院修士ソルフェージュ専攻を修了。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
各種レッスン受付中!詳細は下記をクリック!