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現役音高講師が語る!東京藝大の入試実技攻略(その1・スケール編)

2025-01-10東京藝大入試対策ヴァイオリン,音大,音程

東京藝大の入試実技は、1次試験と2次試験に分かれており(作曲科はなんと3次まで!)、

1次試験を突破した人のみが、2次試験に進める仕組みになっています。

わぁー過酷。

1次で基礎的な技術をみて、2次で音楽力をみるのは、

どの楽器も共通していることかな、と思います。課題曲を見た感じでは。

(なお実技試験を突破した後は、ソルフェージュや副科ピアノの試験が待っています!)

私が受験した時の東京藝大ヴァイオリン専攻の実技課題は、こんな感じでした。

  • 1次試験:カール・フレッシュのスケール(指定の調性)、エチュード(指定の曲。この年は何故か2曲あった)
  • 2次試験:バッハの無伴奏曲(指定の曲)、指定されたコンチェルト(伴奏付き)

年によって多少の変化はあるものの、大まかな所は今(2025年)も変わっていないようです。

この記事では、私がヴァイオリンで受験した経験をいろいろ書いていきます。

ヴァイオリンで受験を考えている人はもちろん、他の楽器の人にも共通することはあるので、参考になれば幸いです。

スケール(音階)は入試突破のカギを握る

藝大入試は、1次試験を突破しないことには始まりません。

ヴァイオリンは、ご存知の通り自分で音程を作る楽器です。なので、試験する側にとって、基礎を丸裸にする最適解は、音階を聴くことなんですね~。苦笑

Point

音階とひとくちに言っても、入試課題の音階は種類がとても多く、けっこう大変。

  • 単音の3オクターヴ
  • アルペジオ7種(単音)
  • 分散3度(単音。ドミレファミソファラ・・・)
  • 半音階(単音)
  • 3度(重音)
  • 6度(重音)
  • オクターヴ(重音)
  • フィンガードオクターヴ(重音。↑のオクターヴとは指番号が違う)
  • 10度(重音)

かつては、1弦上での単音1オクターヴ+アルペジオ7種+分散3度+半音階(を4弦とも)も課されてましたが、最近は試験曲から外れてます。

一口に音階と言ってもこんなに大量!

高校生の頃の私は、1日の練習時間の3分の1をスケールに充てていました。

重音が苦手なら、まず単音を極めよう!

高校2年生のある日のレッスン。先生から、このように言われました。

しばらく単音だけをやってみよう。
単音がわかれば重音は弾けるから。

次のレッスンは1ヶ月後(月イチペースだった)。

私は、カール・フレッシュの1番(G線だけの単音スケール)と曲だけをレッスンに持って行きました(=重音はやらずに)。

調性はさすがに忘れましたが笑、1つの調性です。

先生は、

あ、1番をやってきたの?
5番のつもりで言ったんだけどなぁ(笑)。
でもまあいいや。

と言って、聴いてくださいました。

一通りご指導いただいたあと、

よくなったねぇ。
じゃあ今度は同じように5番をやってきて。

次のレッスンは、また1ヶ月後。

同じ調性でカール・フレッシュの5番を練習していきました。

一通り聴いていただいた後、

今ここで重音のスケールを弾いてみて。

おそるおそる重音のスケールを弾き始める私。

2ヶ月も全く弾いてないのだから、怖くないわけ無い。

でも不思議なことに、

面白いぐらい、スッと弾けたんです。

先生も思わず

ね、弾けるでしょ?

この現象を説明するとしたら、おそらく

単音の音階を通じて、音階そのものへの理解が深まり、

完成形のイメージがついた。

ってことだと思います。

あくまでも私個人の例なので、基本的には今習っている先生の指示に従ってほしいですが、

重音が苦手な人はまず単音を極めよ。

よろしければお試しください。

CAUTION

上記のレッスンは、いちおう小5〜高1までカール・フレッシュの重音を練習していた人に向けた内容です。

「今まで一度も重音のスケールやったこと無い!」って人は、ここまでスッと行かないかも…。

まずは、今習っている先生のアドバイスを真摯に受けとめて、地道に頑張ってください♪

同時にいくつの調性を練習すれば良い?

東京藝大ヴァイオリン専攻の課題曲は、10月に調性が1つ指定されます。

課題が発表されるまでの時期はどうしていたかと言うと・・・

1つの調性を、1〜2ヶ月かけて勉強していました。

ほえ~。そんなに!?

弦楽器だからかも?
音程作るし。

音やポジションは違いますが、「長音階」「短音階」と括ってしまえば、シンプルに2種類になります。注:「ドリア旋法」など、いわゆる「旋法」と呼ばれる音階を除く。

開放弦の都合などで、弾きやすい調と弾きにくい調があるのは事実ですが

何調でも良いので、1つの調性を極めておくと、他の調性に応用が利きます!

①調号が多い調
②開放弦が使えない調
③ハイポジションが多い調
など、難しい調を早めに練習しておくと良いね。

音階を人前で弾く練習は、毎日できる!

音階を本番で弾く機会、ありますか?

・・・・・・。

自由曲で出れるコンクールに音階で出る猛者の方もいらっしゃいますが(おそらく場数を踏む目的でしょう)、けっこう勇気いると思います!

私は、高3の年明けから、緊張感を持たざるを得ない状況を毎日、家で作っていました。

それは、

練習の最初に、ウォーミングアップ無しでいきなりスケールを通して弾くこと。

楽器を出して、調弦して、すぐスケールを通す。

それで弾けるの?

うまく弾けるわけないじゃん!
手は冷えてるし、朝は頭が寝てるし。笑
でも、極度の緊張状態なら有り得なくも無いコンディション。
だから、リハーサルだと思って毎日続けた。

ほえーっ。
やってみようかなあ。

高3の2月に入って、学校に行かなくてもよくなってからは、

朝イチでスケール。
休憩したらスケール。
ご飯食べたらスケール。
おやつ食べたらスケール。

みたいな感じでした!

シンプルに、毎日6〜7回、本番と同じ状況を作っていた計算になります!

1週間で40回!?

改めて計算したら、なかなかの量だね。
40回コンクール出たら40万円以上かかるよ。

おかげで、試験本番では自信を持って弾けました。

何より、毎日続けたことは、今の私の原動力になっています。

音階を音楽的に弾いてみよう

音階を音楽的に?
どういうこと?

私は勤務校で、副科弦合奏の授業を担当しています。

授業なのでいちおう期末試験もあり、仲間や先生方に見守られながら、音階や短い曲をソロで演奏します♪

Point

専攻楽器に関係なく、全員が何かしらの弦楽器を持って合奏してみよう!という授業です。(生徒さんの専攻楽器はピアノ、管楽器、声楽などいろいろ。)

音程や音色を作る過程が目に見えて興味深いようで、皆さん熱心に取り組んでいます♪

試験は、生徒さんの演奏に対して点数をつけながら聴くわけですが、

何年も聴いているうちに、大変興味深いことがわかってきました。

ちょっとぐらい弾き方や音がおかしくても、

音階に対する意識は、演奏に表れる。

専攻楽器では無いので、生徒は基本的に授業内で練習(週1回)するだけ

何かしらの楽器をやっている子たちなので、楽譜は読めるし音もわかる。でもご存知の通り弦楽器は自分で音程を作らなきゃいけない。音はわかっても体が思うように動かない。それ以前に「えぇと弓はこうやって持つんだっけ」「小指(の指番号)は5!…じゃなかった4」とか、もう頭パニック。音階を1オクターヴ弾くなんてまあトンデモナイ大仕事。(それを乗り越えているだけで100点はらたいらに3000点!と思いながら採点しています♪)

そんな壁がありながらも、

①「音を平面的にド・レ・ミ・ファって並べました」って感じの演奏。

②上がって下りるイメージを持っている演奏。

③「今から◯調の音階を弾く」とか「◯調だからこんな風に演奏したいな」みたいに、具体的なイメージや理想像を持っている(あるいは持とうとしている)演奏。

これら3つの演奏は、

ビックリするぐらい違います。

イメージや理想像がある演奏は、ちゃんと音楽として伝わってくる。不思議ですね~。

要するに。

音階に対する意識の持ち方は、すべてを変える。

Point

音階を一つの音楽として極めよう。

音階だけで長い記事になってしまったので、エチュードや曲のことはこちらの記事に続きます!

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