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なぜヴァイオリンの先生がソルフェージュ?

2018-04-14ソルフェージュ,ヴァイオリン

「ピアノの先生」が100人いたら、おそらく100人とも「ピアノを弾く人」ですよね。
「ヴァイオリンの先生」もトランペットの先生も、100人いたら100人とも「ヴァイオリンを弾く人」「トランペットを吹く人」ですよね。たぶん。

じゃあ、「ソルフェージュの先生」ってどんな人???

ちょっと答えに困りませんか?
そんな疑問に迫ってみようと思います。

音楽家ならソルフェージュは教えられるはず

お子さんや、まったくの初心者の方が楽器を習う場合は、

楽器の弾き方以外に

楽譜の読み方やルールも教えてくださる先生が多いと思います。

ここに、簡単な歌やリズムの練習が含まれることもあるでしょう。

でも、音大受験に向けたソルフェージュを教える先生のほとんどは、作曲家やピアノの先生です。

とても不思議🤔

私が通っていた東京藝大の音楽学部は、1学年が約240人。そのうち、

作曲科15人。

ピアノ科約25人。

弦楽器が約40人。

声楽が50人強。
(管楽器は正確な数字がわからないので割愛・・・23人いる楽理科はこれまた専門の領域が多種多様すぎるので割愛・・・関係者のみなさま、すまぬ。)

ぬぬぬぬぬぬぬぬぬ…………

作曲科とピアノ科足しても、声楽とか弦楽器の全体数より少ない件。

こちらの記事でも書いてますが、ソルフェージュは、音楽そのものと向き合う時間。
どんな楽器の先生が教えても不思議じゃないですよね。

ヴァイオリン弾きだからこそ、できること

私は、大学まではヴァイオリンを専攻していました。

今もオーケストラや室内楽でヴァイオリンを弾きます。

その経験から得たことを、ソルフェージュのレッスンに還元しています。

たとえば

  • 全音と半音の差を伝えたい時に、ヴァイオリンを使って音程を実感してもらう
  • 四声体の和声聴音で、弦楽四重奏の経験則から話をする

こんな風に、実体験からいろんな伝え方を発想できているのは、私の強みだと思っています。

ヴァイオリンを使って全音と半音を体験してもらうと、ヴァイオリン未経験の生徒さんは

必ずと言っていいほど

目を輝かせて何かを吸収しています。

彼らの世界が広がる瞬間です。

 

必ずしもピアノを使う必要はない

音大入試の聴音は、ピアノで行われるケースがほとんどですが、

本当は、ピアノ以外の楽器も使われて良いはずです。

(指揮科の入試だと、木管四重奏とかで出題されることも)

実際の曲は、ピアノが使われるとも限らないしね。

入試ソルフェージュあるある

いろんな音大の入試問題を調べてみましたが、

よくあるのは、

細かい音符をたくさん使ったリズム。

一方で、少ないのは

全音符とか2分音符みたいな、中が白い音符。

ピアノで弾くと、伸びてるのか休符なのか、判別しづらいからね。

そう、ピアノだと、伸ばしや休みを数える練習ができないんです。

ソロばかり勉強してきた人が合奏に入って、起き得るであろう現象2つ。

  • のばし音符が数えられない
  • 3小節ぐらいのわりと短い休みが数えられない

覚えのある方もいるんじゃないでしょうか。

昔の自分がそうでした。

作曲とピアノ以外の先生が、ソルフェージュを教えることに対して、二の足を踏む理由

作曲とピアノ以外の先生が、ソルフェージュを教えることに対して、二の足を踏む理由は、ただ一つ。

ピアノの腕前が人によりけり…。

音大では「副科ピアノ」というレッスンがあり、ピアノ以外の楽器を専攻している人も全員、ピアノを習います。

もちろん、入試や期末試験の課題は、本職のピアノ科の方々よりも全然易しい曲です。

「入試のために高3になって慌ててピアノ始めて、入試の曲だけを必死に練習しました!」な人もいれば、

ピアノ科顔負けに上手くて、何でも弾けちゃう人もいます。

自分はどうだったか。ヴァイオリン講師のピアノ事情

私はピアノとヴァイオリンをほぼ同時期に始めました。

中学生ではピアノのレッスンに通っていませんでしたが、合唱コンクールの伴奏はやっていました。

高校は音楽高校だったので、3年間副科ピアノが必修。

大学では、必修は2年だけでしたが、選択科目で4年生まで副科ピアノを履修しました。

大学院ソルフェージュ科の入試では、ヴァイオリンだけでなくピアノも演奏しました。

大学院の授業では、ひたすら初見でピアノを弾きました!

連弾、2台ピアノ、スコアリーディング・・・まさに武者修行😂音符が少ない曲になると俄然元気になる始末。笑

とまあ、こんな感じで弾き続けてたのもあって、

複旋律の聴音課題や、伴奏つき視唱の伴奏も、

練習すれば弾けます。

ヴァイオリン教則本に載ってるレベルの曲、伴奏しながらレッスンしています。

とは言えやっぱり「………お手上げです。」な時もあって…。そういう時は、原曲を損なわない程度に簡単にアレンジします。

そもそも、なぜ二の足を踏むのか?

ソルフェージュを教える先生のピアノの腕前が問題になってしまう理由は、ただ一つ。

入試の聴音でピアノを使うことが前提になっているから。

そもそも、ソルフェージュって聴音だけじゃないのに。不思議です。

ソルフェージュの先生は必ずしも、作曲家やピアノの先生である必要はありません。

肌感覚でオーケストラの現場を知っているソルフェージュの先生って、そんなに多くないと思います。

体感から伝えられること、たくさんあります。

…もっと根本的なところまで辿れば「楽器を教える先生とソルフェージュを教える先生が別の人」なのが、そもそもの発端なのだとは思いますが、それは追々・・・。