ピアノやヴァイオリンの先生はソルフェージュで何を教えればよいか?
私はヴァイオリン弾きでもありますが、ソルフェージュの先生でもあります。
そう、二足のわらじです。
同業者に言うと高確率で、コレを聞かれます。
なに教えてるんですか?聴音とかですか?
ときどき、こういう質問も受けます。
いきなり受験向けのああいう難しい聴音とか絶対無理ですよね???
というわけで今回のテーマはこちらです。
ピアノやヴァイオリンの先生はソルフェージュで何を教えればよいか?
生徒のつまづきポイントを見極めてカバーする
ピアノやヴァイオリンの先生はソルフェージュで何を教えればよいか。
最初に答えを言います。
音の高さがわかっていない生徒さんには、今弾いている曲を声に出して歌って、音の高さを実感してもらう所からスタート。
カンタンに言うと、
生徒さんの演奏で問題になっている要素を、ソルフェージュでカバーすれば良いんです。
そもそも、何のためにソルフェージュをやるんでしょう?
イイ演奏するためですよね???受験のためじゃないですよね???
ご自身の生徒さんなら、ふだんから演奏を聴いていますし、何に躓いているかも、よくわかりますよね。
つまづきを、ソルフェージュでカバーしてあげましょう。
音大受験対策のソルフェージュは大半の人には不要
冒頭でも書きましたが、同業者からはこう聞かれます。
「ソルフェージュって聴音とか教えるんですか?」
「いきなり受験生向けの聴音とか無理ですよね?」
この手の質問は、どういった背景から出てくるのでしょう。
先生の背景を探ってみましょう。
ぶっちゃけた話、先生ご自身にもソルフェージュ=受験の聴音とかみたいなイメージがあるのだと思います。
音大に入ってからもソルフェージュは必修科目で習っているハズですし、入学後のソルフェージュは受験のモノとは一味も二味も違うと思うのですが、受験の印象は拭えるわけもなく、ソルフェージュに対するイメージは大半の音大卒の人にとっては、
受験で苦労したアレ>>>>>>>>>>>>音大の授業
なのでしょうね。
大概の音大では入試科目にソルフェージュがあり、聴音や新曲視唱が課されます。
受験生対象ですから、当然、それなりに難しい問題が出ます。
でも、 卒業して実際に教える生徒さんの大多数は、音大受験用の難しい聴音や新曲視唱とは縁遠く生きていかれる方である可能性が高い 。
したがって、こう断言します。
受験用の難しいソルフェージュが必要な人なんて、そうそういません。
楽器演奏とソルフェージュの乖離
ソルフェージュ業界かいわいでは度々問題に挙がるのですが・・・
実技レッスンの時間とソルフェージュの授業の存在が、かけ離れているのではないか?という点。
たしかに、音大受験生は、自分の専門実技のほかに、ソルフェージュのレッスンにも通います。
ヴァイオリンで受験する場合、たいがい、レッスンは次の4点セットになります。
・ヴァイオリン(教授のアシスタントの先生や、地元の先生)
・副科ピアノ
・ソルフェージュ
そう、楽器の実技の先生が2人いるのはさておき(3人以上の場合もある)、楽器のレッスンの先生とソルフェージュの先生は、別人なのです。
音楽を教えるという意味では、分業する必要が無いように思いますが、ナゼか分業制なのです(笑)
実技の先生の中にも、「自分ソルフェージュは苦手でね・・・」と謙遜をおっしゃる方もいらっしゃいます。
ほんとうにニガテかどうかは知らないけど。
音楽という根幹の部分では一緒なのに、実技の先生はソルフェージュの先生を近寄りがたい存在と思っておられたりするのかな?と感じます。
ソルフェージュの先生は、そんなこと微塵も思ってません(^^;
むしろ、お近づきになりたい、いや、仲良くしたいです(笑)
なんなら、実技の先生もソルフェージュ教えればいいじゃん?と思うのです。
いざ自分が(専門外の?)ソルフェージュも教えるとなった時に、何を教えればよいか迷うのは、当たり前と言えます。
ソルフェージュを通じて、生徒さん自身の世界を広げる
ソルフェージュって、なんのためにやるんでしょう?
とても深いテーマで、答えも1つには絞れないのですが、これだけはハッキリ言えます。
音楽を楽しむため。
それまで見えなかった要素、見過ごしていた要素まで見えてきます。
譜読みも早くなります。
新しい曲を弾けるようになるまでのハードルが下がります(自分がレベルアップするから)。
星の数以上に存在する曲のなかで、自分でも手に届きそうな曲が増えます。
生徒さんは、ドンドン音楽が楽しくなります。
ついでに。
先生はリズムや音を1から10まで教えなくても済み音楽的な内容に踏み込んだレッスンができるようになります。
急がば回れで、ソルフェージュです。