新曲視唱の攻略法~初級者から音大受験生までお役立ち!
そもそも・・・新曲視唱って、なあに?
その場で出された楽譜を、その場ですぐ譜読みして、歌います。
読んで字のごとく、ですね。
しかも、出される曲は、新曲=全く知らない曲です。
音楽大学や音楽高校の入試科目にもなっています。
え、なに?初めての曲をいきなり歌うの?
無理無理無理!!!
大丈夫。ちゃんと攻略法があります。
順を追って、一つずつ見ていきましょう。
何のために新曲視唱を勉強するの?
入試科目にもなっている新曲視唱。
どんな能力が問われているのでしょうか?
それは、技術以外の、演奏する上で必要不可欠な能力を身につけておいてほしいからだと考えられます。
演奏するのに不可欠な能力って、演奏技術以外にはどんなことがあるのですか?
ざっくり言うと「譜読み」です。
本当にざっくりですね・・・
技術以外に、演奏するのに不可欠な能力は、4つあります。
- 短時間で楽譜の情報を読みとる(譜読みする)
- 音楽の基礎知識
- 時間を効率よく使う
- 本人がもともと持っている表現力(教え込まれた表現ではなく、自分の意思でどの程度の表現ができるか)
趣味として楽器を弾きたいと思っている方も、上から3つ目までの能力は、あるに越したことはありません。
4点目の「もともと持っている表現力」は、専門的に音楽を勉強しようとする人なら必須ですね!
新曲視唱が音大入試に含まれる理由
シンプルに言うと、メッキを剥がした状態を審査したいからでしょう(予想)。「化けの皮を剥がす」のほうが近い
教え込まれた表現しかできない人にとって、音大・音高って、なかなか厳しい環境ですので。
えー、譜読み遅いから心配だなー。
今、譜読みのスピードが遅くても大丈夫。
新曲視唱は、慣れが大きなウエイトを占めます。
普段の練習で出来るトレーニングを、積み重ねれば良いのです。
練習を重ねるうちに、譜読みも少しずつスピードアップできますよ。
要するに、ふだんの行いがモノを言います。
予見で真っ先に確認すべきポイント7つ
新曲視唱では、「予見」の時間が設けられます。
読んで字のごとく、実際に歌う前に譜読みをする時間です。
入試の場合、試験問題は8小節ぐらい。
短いので、予見時間はそう長くはありません。
平成30年度の入試過去問をホームページで公開している学校のうち、新曲視唱の予見時間を確認できた学校の一例をみてみましょう。
※受験する年や専攻によって変わる場合があります。実際に受験する方は、各学校のホームページ等で正しい情報を得てくださいね!
学校名 | 小節数 | 予見時間 |
---|---|---|
桐朋学園大学 | 8(単旋律) 12(手拍子付き) 16(ピアノ伴奏付き) | 20秒程度 |
東京音楽大学 | 8小節程度 | 1~2分 |
洗足学園音楽大学 | 8小節程度 | 1分程度 |
学校によって異なりますが、そうそう長い時間でもないことがわかりますね。
試験では、限られた時間を有効に使うことも問われています。
ここからは、予見で真っ先に確認すべき7つのポイントをご紹介します。
音部記号、調号、拍子
まず確認すべきは、音部記号、調号、拍子。
音部記号や調号がわからないと、音名を確定できません。
拍子がわからないことには音価も決められません。
音符の長さが同じでも、拍子の取り方によって曲調そのものが変わったりします。
4分の3拍子と8分の6拍子とか。
テンポ
曲の冒頭に「Adagio」「Allegro」などテンポ指定があればカンタン。
指示に従うだけです。
「Adagioなのに速く歌う」みたいに楽譜の指示に従わなかった場合、減点の対象になる可能性が。
楽譜の情報を読めていないことになるので・・・。
メトロノーム数字で、テンポが指定される場合もあります。
(東京藝術大学の平成30年度過去問は、四分音符おおよそ88となっています。)
予見でメトロノームを使えたら、堂々と使って、テンポを確認しましょう。
メトロノームが使えない時はどうするのですか?
体内時計で推測しましょう。
時計の秒針もヒントになりますよ。
メトロノーム数字が表すもの
ところで、メトロノームの数字が何を表しているか、ご存知ですか?
そういえば知らないや。
1分間で何回音が鳴るか、数えてみましょう。
(シンキングタイム)
・・・・・数えましたか?
メトロノームの数字は、1分間に「カチ、カチ」や「ピッ、ピッ」と音が鳴る回数を表します。
100なら1分間に100回「カチ、カチ…」「ピッ、ピッ…」が鳴ります。
(鳴りましたか?)
感の良い方はお気付きでしょう。
時計の秒針の速度=60のテンポになるはずです。(ためしてみよう!!!)
秒針から、60のテンポを割り出せるようにしておきましょう。
60に近い数字(58とか66)のテンポはもちろん、120や40付近のテンポも、秒針から割り出せるはず。
(計算がんばって!笑)。
発想用語
曲の最初や途中に、発想用語が書いてある場合もあります。
楽譜の一部です。
もちろん、読みましょう。
実際の曲には書いてあるしね。
曲の構造や仕組み
今まで見てきたのは、いわば、曲の基本情報でした。
ここからは、曲の仕組みを見ていきます。
まず、全体をザッと見ます。
新曲視唱の試験課題は、そうそう長い曲ではありません。
全体を見るとしても、そこまで時間かからないはず。
次に、曲の構造・仕組みを把握します。
「こことここが似てる」ぐらいの、ざっくりした感じでOK。
- 同じリズムパターンになっている
- 転調している(ほんの一瞬の転調でも要チェック)
フレージング・表情づけ
全体を見るついでに、フレージングや表情づけを考えます。
声に出して歌うのですから、大ざっぱにフレーズの切れ目=息継ぎの場所と考えてしまってOK。
自分の専攻楽器ならどう弾くか(吹くか)、考えてみましょう。
弦楽器ならボウイングや指使い、どこの弦を使うか、などが該当します。
管楽器のタンギングやブレスにも、同じことが言えます。
自分にとって身近なものに置き換えると、なんでもわかりやすくなる不思議。
リズムや音程がややこしい場所
ここまで済ませてから、リズムと音程に取りかかると良いでしょう。
曲の最初から読む必要はありません。
時間が限られていますので、難しそうな場所から始めるのがGood。
時間を有効に使うべく、予見時間の手始めに目を向けるべきポイントです。
- ぱっと見でリズムがわからない場所
- 臨時記号がついている場所の音程
単純で歌いやすそうな所は、後回しにしましょう。
時間を上手に使うのも、実力のうち。
残りの時間で練習
短い予見時間ですが、前述の6つをまず終わらせます。
さらに余った時間で、練習しましょう。
声や音は出せません。あくまでも心の中で歌います。
新曲視唱の練習は、楽器の練習の応用
もうお気づきの方もいるかもしれません。
ご紹介した7つのコツすべては、楽器の練習においても同じことが言えます。
怖くないよ、新曲視唱。