パート譜だけ見て練習していませんか?「全体」を知ると、自分の音の意味が見えてくる
先日ご紹介した「ピアノ協奏曲×弦楽四重奏」の体験会が、無事に終了しました!
私は運営の事務方をやりつつ、弦楽四重奏の2ndヴァイオリンとして参加者の皆さんと共演しました。
わぁ忙しいねぇ(棒)
練習と事務方の両方!って、言われてみれば大変に聞こえるけど、私はわりと普段からやってることなので慣れっこではある(大変じゃないとは言ってない。笑)
今回は、本来オーケストラと共演するピアノ協奏曲を、弦楽四重奏版で演奏する企画でした。
もちろん、自分のパートだけ練習していればいいわけではありません。
オーケストラでも弦楽四重奏でも、純粋な独奏曲でもない限りは、確かにそうだよね。
- ピアノは今、どんなことを弾いているのか
- 今、誰が主役なのか
- 自分の音は、全体の中でどんな役割なのか
こういうことを知っておかないと、有意義なリハーサルになりません。
でも、これは「合わせるためだけ」の話でもないんですよね。
自分の音が、曲全体の中で何をしているのか。そこまで分かると、練習そのものも変わってきます。
これは、曲がりなりにもコンサートマスター経験を積んできた中で、私自身が学んだことでもあります。
というわけで、モーツァルトのピアノパートを弾いてみた
というわけで、私もピアノソロパートを弾いてみることにしました。
唐突だねぇ。
だって、ピアノソロが何をやってるのか気にならない?
たしかに…。
もちろん私はピアニストじゃないから、本職のピアニストのようには弾けないけどね。笑
体験会参加者さんの演奏曲に含まれていたモーツァルトのピアノ協奏曲第23番を、弾けないなりにポロポロと弾いてみました。
すると、不思議な懐かしさが蘇ってきました(弾いたことない曲なのに…!)。
この感じ、知ってるぞ……?
小学生の私は「意味の分からない音符」を弾いていた
蘇ってきたのは、
小学生の頃に、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲を練習していた時の感覚。
ここまではメロディっぽくて楽しいな!
でもこの全音符2小節も延ばす所は退屈だなぁ。
えぇい、適当に終わらせちゃえ〜(2拍ぐらい弾いて先に行く)
コラッ!そこはちゃんとのばさなきゃダメでしょ!
えー。
じゃあここは本を読みながら弾こうっと。
ひまだし(何も理解してない)
小学生の私からすると、こういう音は、なんだかよく分からない音の羅列でした。
- 主旋律っぽくない
- ただ音を伸ばしている(ように見える)場所
- 何小節もトリルが続いている
今の私なら、そんな音符を見ても、ある程度その役割を想像できます。
もちろん、今だってスコアを見れば何でも分かるわけではありません。笑
でも、「この音には何か役割があるはず」と考えることはできます。
主旋律の合間を縫う役割かな?
いや、他の楽器との掛け合い?
ハーモニーを支える人?
主役を華やかに引き立てる役?
でも、こういう風に想像が働くようになったのは、オーケストラや室内楽の経験を経た結果です。
オーケストラ経験どころかオーケストラスコアを見るという発想も無かった当時の私には、そりゃあ「意味の分からない音符」に見えるよなあ…」と、今になって思います。
パート譜は「パーツ」、スコアは「完成図」
突然ですが、ジグソーパズルを想像してみてください。
あれで日本地図を覚えたよ!
遠い昔に1000ピースとか挑戦したっけな。
目の前に、ただ青いだけのピースが1個あるとしましょう。
それだけを見ると
……これ、何?
ってなるかもしれませんが、
完成写真を見れば
あー!青空の部分だ!
と分かる。
これって、パーツそのものが変わったわけじゃなくて、
全体を知ったことで、そのパーツが何なのか分かるようになっただけですよね。
楽譜も、ちょっと似ています。
そういえば、この話、以前にも書いていました。
私、昔から同じこと言ってるなぁ。笑
オーケストラのスコアを初めて見ると、
うわぁ、音符がいっぱい……(戦意喪失)
となるかもしれません。
でも、あれは「情報が多すぎる」のではなく、曲全体が載っているだけです。
パート譜は、その中から自分が演奏する部分だけを取り出したもの。
なるほど。スコア=完成図、パート譜=自分に渡されたパーツ、ってことなんだね!
スコアを眺めながら曲全体を捉えることについては、以前こんな記事を書きました。
私はパート譜を見るのを最後にする
パート譜だけを見ていると、
ここは全音符だから4拍のばさなきゃ!
と、「音符を正しく弾く」ことだけで終わってしまうことがあります。
身に覚えがあるなぁ…
でもスコアを見ると、こんなことまで見えてきます。
この4拍は、フルートがメロディを吹いているのか!
全音符の間にチェロが動いてるなぁ。
そっか、自分の音はハーモニーを支える役割なんだね!
そうすると、あら不思議。
同じ音符なのに、ちょっと違う景色が見えてきました。
練習も、
「とりあえず音を並べて弾く」から「音の役割を知って弾く」という感じに変わっていきます。
私は、この違いがけっこう好きです。
だって、意味が分からない音符を延々と練習するより、「なるほど、ここでこういうことをしているんだな」って分かって弾いたほうが、楽しくないですか?
ここで、私がパート譜を練習するときにやっている、ちょっとした方法をご紹介します。
それは、
パート譜を練習するとき、パート譜を一番最後に見る
ことです。
ちょっと何言ってるかわかんない。
これから説明するから。
まず、総譜(フルスコア)をざっくり読みます。
ここはヴィオラが主役なんだね。
自分のパートは主役じゃないけど、おダシみたいな役割っぽいなぁ!
こんな感じで全体像を掴みます。
時間があまり取れない時は、フルスコアを眺めながら音源を聴くこともあります。
そして、全体像をなんとなく掴めたところで、ようやく自分のパートを練習します。
するとあら不思議。
さっきまで「ただの延ばし音符」に見えていたような音も、
ここはフルートのメロディを支えているんだな・・・
ここではチェロが動いているから、自分はハーモニーを支えているんだな・・・
と、その役割が見えてきます。
99パーセント主役ではありません笑。
でも、周りで動いている音の流れがわかってくると、「自分はここで何拍休むんだっけ?」と迷子になることも減ります。
その音の役割や意味が見えた結果だよね。
そう、それ!
私にとってスコアを見ることは、単に「上手に合奏するための準備」ではありません。
自分の音を知るための準備です。
「スコアを見て、周りの音を知る」という練習については、以前の記事でも詳しく書いています。
今回は、いつも以上にスコアが必要だった
そして今回の体験会では、このプロセスが特に重要でした。
どうして?
本来オーケストラで演奏する曲を弦楽四重奏で演奏したからだよ。
人数がぜんぜん違うからね。
1人ひとりが、いろんな役割を受け持つことになるわけだ。
私は2ndヴァイオリンの担当でしたが、弦楽四重奏版では、原曲のこんなパートを弾くこともありました。
- ヴィオラ
- オーボエ
- クラリネット
- ホルン
わぁ!いろんな楽器の仕事をするんだ!
おおいそがしだ!
ヴィオラやチェロには、ティンパニ役が与えられている時もありましたよ。
すごい!!!
弦楽四重奏版での「2ndヴァイオリン」というパート名と、原曲での役割はイコールではありません。
だから、2ndヴァイオリンのパート譜だけを見ていても、「私は今、何の仕事をしているのか」が分からないことがあるんですね。
原曲のフルスコアを見ることで、初めてその音の出どころや役割が見えてきます。
パート譜だけでは見えない情報が、スコアを見ることで見えるようになります。
以前の記事で「自分のパート以外に目を向ける」ことについて書いているのですが、読み返すと「……私、ずっと同じこと言ってる?」って思いました。何年も前に書いた記事なのに。笑
でも、今回また別の経験をして、やっぱり同じことを感じたってわけだね。
全体を知ると、自分の音の意味が変わる
今回あらためて感じたのは、
自分のパート譜だけでは、分からないことも多い
ということ。
自分のパートを一生懸命練習するのは、もちろん大切です。
でも、
- その音がどこからどう来て、どこへ向かっているのか
- 周りの音とどう関わっているのか
を知ると、
自分の音の意味まで変わって見えてきます。
「相手を知る」というのは、人間関係だけの話でなく、音楽でも同じなのかもしれませんね。
なるほど。相手のパートを知り、曲全体を知り、自分が全体のどこにいるのかを知ると、自分のやるべきことも見えてくる…ってことですね。
小学生の頃の私はそんなことを知るわけもなく…そりゃあ全音符2つがただの延ばし音符に見えるはずです。笑
無理もないよね。
今の私は(少しかもしれないけど)曲全体が見えるようになり、昔は「なんだこれ?」と思っていた音符の意味が分かるようになりました。
そう考えると、楽譜を読むことって、なかなか面白いものだね。
ほんとそれ。
せっかく練習するなら、
ここは、なんでこんな音なんだろう?
と思った所をそのままにせず、スコアを開いてみましょう。
もしかしたら、その音符が急に生き生きして見えるかもしれません。
そして何より、
意味が分かって練習できると、幸せな練習時間が増えてハッピーになれますよね。
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ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。東京藝術大学、茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。都立芸術高校・東京藝大をヴァイオリンで卒業後、東京藝大院修士ソルフェージュ専攻を修了。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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