コンチェルトは独奏曲なのか?|協奏曲をアンサンブルとして考える
前回の記事では、私とコンチェルトの付き合い方がどう変わってきたのかを書きました。
子どもの頃は発表会で弾く曲。
学生時代は試験や受験で弾く曲。
そして今は、大きなアンサンブルとして見ています。
その変化はどこから来たのか?と振り返ると、
私が長い間勉強していたのは「コンチェルトのソロパート」であって、「コンチェルトそのもの」ではなかった
ように思うのです。
↓前回記事はこちら↓
コンチェルトを勉強していた…はずだった
ヴァイオリンを習っていると、比較的早い段階でコンチェルトを弾き始めます。
- ザイツ
- リーディング
- アッコーライ
これらは、発表会でもお馴染みの、教育用に書かれたコンチェルトです。

ザイツの協奏曲は、「学生協奏曲」というタイトルで載っている教本もあるほど。
私も弾きましたし、今も生徒さんに与えたりします。

さらに進むとモーツァルトやブルッフ、サン=サーンス、ラロなど、一般的なオーケストラの演奏会でも演奏される曲を勉強するようになります。
コンクールや受験の課題としても一般的なラインです。
でも今、冷静に考えたら、

当時の私は「コンチェルトを勉強していた」って言えるんだろうか???
と思うのです。
練習していたのはソロパート。全体ではなかった
もちろんソロパートは練習してたわけですが、
中学生の頃の私はと言うと、
音とリズムを読みCDを聴きまくって曲を覚え
↓
昔の大演奏家が校訂した出版譜に書かれた指使いとボウイングで弾いてレッスンに行き ※場所によっては、その時の私に適した指使いやボウイングに直し(先生が)
↓
理由もわからず先生の注意を聞き ※当時の私に理解力が無かっただけ
↓
「翌週に先生に同じ注意を受けないように」ぐらいの低いテンションで練習して行き ※適度にサボりながら
↓
理由もわからず先生の注意を聞き
↓
以下ループ・・・
という感じでした。

高校生になっても基本的には同じ感じのループでしたね。
変わった点は、先生の注意の意味がわかるようになったことと、練習時のテンションぐらいです。

めっちゃ成長してんじゃん。

へへへ。
それなりに時間を割いて勉強していたはずのコンチェルトですが、
正確には
コンチェルトのソロパート
を勉強してたような気がします。
- 伴奏が何をしているのか知らない
- オーケストラスコアを開くことも無い(読み方すら知らない)
そんな状態でも
「◯◯のコンチェルトはもう勉強した!」
と言い張っていました。

もちろん、「理由がわからなくても10代のうちにがむしゃらにでも弾いておいて良かった!」と思えるほど素晴らしい曲が多いですし、ヴァイオリンの演奏技術を学ぶ教材としてもコンチェルトは最適解だと思います。

ヴュータンやヴィエニャフスキなどヴァイオリニストの作品はヴァイオリンの演奏技術的な側面から、メンデルスゾーンやチャイコフスキーなどヴァイオリン以外にもたくさん曲がある作曲家の作品は音楽的な側面から、10代のうちに触れておくメリットがあります。
これら2つは、分けて考える必要があると思います。
しかしある時、はたと気付きました。

そういえばコンチェルトって、ソロパートだけじゃないよね?
ふと蘇ったのが、子どもの頃に抱いたこんな疑問。

コンチェルトは漢字で書くと「協奏曲」なのかぁ。
「競争曲」じゃないんだ…。

確かにそういう誤植あるけどね。笑
協奏曲のオーケストラパートを弾いて初めて見えたもの
考え方が変わったきっかけは、オーケストラの一員としてコンチェルトを演奏したことでした。

藝大の学生オーケストラで、庄司紗矢香さんをソリストにお迎えしてメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(有名なメンコン)を演奏する機会がありました。
最初のうちは単純に

特等席で聴ける!嬉しい!
自分の右半分は客席にいたい!(謎)
と思っていたのですが、
かつて勉強したはずのソロパートの、今まで気づかなかった側面に気付かされます。

あれ、ここのソロパート昔めっちゃ練習した気がするけど、実はオケが主役…???
そう思って、慌ててスコアや伴奏譜を引っ張り出すと

あー、やっぱりそうだ…。
あの頃はソロパートしか見えてなかったんだなあ…汗
と同時に、

オケパートを知ろうともせずに弾いてたんだから、気づかなかったのも当然だなあ…。
とも思いました。

ドンマイ。
でも気づけたんだから良かったじゃん。

とほほ。
そんな体験を経た結果、レッスンで勉強していた曲でも、

えーっとここは自分が主役…じゃくて、オーボエが主役だ!
みたいな考え方ができるようになっていきました。
協奏曲は独奏曲なのか?
コンチェルトは一般的に、「ソリストとオーケストラとの対比や協調が魅力の音楽」と考えられています。
たしかにそうなんですけど笑、
今の私は、
巨大な室内楽
だと感じています。

巨大だったら室内におさまらないよ。

…そういう細かい所ツッコまない。笑
なぜなら、コンチェルトは
- ソリストだけが頑張ってもダメ
- オーケストラだけ頑張ってもダメ
そう、究極のアンサンブルです!

ソリストはオーケストラのことを、オーケストラ側はソロのことを。お互いの呼吸や役割を知って、初めて曲として聴かせられるジャンルだと思うのです。(自分がそれをできているかは一旦置いといて)
自分がソリストとしてオーケストラと共演した経験から感じたこと
ここまで書きながら思い出したことがあります。
それは、
ピアノ伴奏で弾くコンチェルトと、オーケストラとともに演奏するコンチェルトは、全く別モノ
ということです。
学生時代に、地元のアマチュアオーケストラとコンチェルトを共演するチャンスが巡ってきましてね。
生まれて初めてのオーケストラとの共演にドキドキワクワクしながら練習に行き、1音目を出した瞬間に感じたのが、

コンチェルトだけが特別なジャンルだと思っていたけれど、室内楽やオーケストラと似てる!
ということ。
ピアノ伴奏でコンチェルトを弾くことは、小学生の頃から発表会やコンクールなどで、ずっとやってきました。
でもそれは飽くまでも、
コンチェルトを別の角度から理解するための準備段階だった
ってことですよね。

オーケストラと一緒に弾いて初めて見えてくる景色が、確かにありました。
ピアノを弾く人にとってのコンチェルト
で、なぜ急にこんな記事シリーズを書き始めたかと言うと。
このたび、ピアノ協奏曲×弦楽四重奏 プライベート体験会という企画に関わることになりました。
参加者(ピアニスト)が実際にコンチェルトのソロパートを弾きながら、室内楽のようなアンサンブル体験をするワークショップです。

ここまで散々ヴァイオリン協奏曲の話をしてきましたが、今回の企画は、ピアノを弾く人が対象です。

おっと。ハシゴ外されたぞw

ちゃんと意図があるの!

はいはいw
ピアノを弾く人にとって、「コンチェルト」はちょっと遠い存在のようです。

私の周りのピアニストが見事に全員そう言ってます。
そもそも、

ピアノだけで世界が完結している曲が星の数ほどあるから、コンチェルトまで視野を広げる前に人生が終わっちゃいそう…。
という感じなのかもしれません(想像)。
でも、そんな方にこそ、
弦楽器のアンサンブルと一緒に弾く感覚
だけでも体験してほしいと思っています。
きっとあなたのピアノの世界が広がる。そう言える自信が、私にはあります。
弦楽器と一緒に弾く経験が、あなたのピアノを変える!
過去に、勤め先の楽器店教室の発表会で、
ピアノの生徒さんとピアノトリオを演奏する企画があり、
ヴァイオリン奏者として参加しました。
生徒さんの年齢は小学生から大学生まで、さまざま。
2回のリハーサルを経て本番当日を迎えたのですが、
リハーサルの度に、生徒さんの演奏がどんどん変わっていきました。
ビックリするぐらい、がらりと。

リハーサルと言っても、1人10〜20分ぐらいの時間です(時間の都合で短くならざるを得ない)。
1回通して、何ヶ所かやり直して、それで終わり。
ここから先は想像ですが。
生徒さん達は、きっとその時、
それまでの「ピアノ」と違う世界が開けた
のだと思います。
主に企画を主導しているピアニスト、古川貴子さんがこちらの動画(6分29秒付近) で、
「弦楽器と一緒に弾いたときの幸福度はぜんぜん違う」という話をしているんですが、
まさにそれです。

ぜひこの機会にぜひ体験してほしいです。曲が完成してなくても全然OK(むしろウェルカム)だし、年齢・経験・レベルも不問です。
協奏曲は「協力して奏でる曲」だった
私自身のコンチェルトとの付き合い方が変わったのは、
「ソロだけを見る」のをやめて、
「全体を見る」ようになってからでした。
もし学生時代にこういう機会があったら、きっと喜んで参加していたと思います。
- ピアノコンチェルトを弾く予定がある人
- これからチャレンジしてみたい人
- コンチェルトというジャンルをもっと立体的に理解したい人
そんな方にとって、とても面白い体験になるのではないでしょうか。

子どもの頃は「競争曲」だと思っていましたが、今は「協奏曲」という名前がしっくり来ます。
少なくとも私は、

分身の術を使って、半分客席、半分舞台上に居たい!
という昔の妄想に、一番近い企画だと思っています。
ピアノ協奏曲×弦楽四重奏 プライベート体験会
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ピアノを弾く方ならどなたでもご参加いただけます!
2026年8月10日(月)・11日(火・祝)、スタジオ・アンダンティーノ(JR田端駅より徒歩3分)
詳細はこちらから👉 https://www.masaartproject.com/pianoconcerto-private/


千葉県流山市のヴァイオリン・ソルフェージュ教室ホームページはこちらから。
基礎から丁寧に学び、音楽を人生の友にすることをサポートします。オンラインレッスンあり。
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ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。東京藝術大学、茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。都立芸術高校・東京藝大をヴァイオリンで卒業後、東京藝大院修士ソルフェージュ専攻を修了。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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