先生にも弾いたことない曲はあるけど、自分が弾いたことなくてもレッスンします。その心は。
レッスンをしていると時折り、このような質問を受けます。
先生はこの曲、弾いたことありますか?
習う側としては、そりゃー気になりますよね・・・。
先に答えを言います。
自分が弾いたことない曲でもレッスンしています。
この世に存在するすべての曲を知ってるわけじゃないので、「弾いたことないからレッスンできません」と言っていたらキリがないじゃないですか。
レッスンする曲を先生が弾いたことあるかないかの違い。そんなところに踏み込んでみます。
先生自身が弾いたことある曲のレッスンを受けるメリット
大きく分けて2つあると思います。
- 先生自身の経験則に基づいたレッスンを受けられる
- 「先生の先生」の教えを受け継げるかも!
1つずつみていきましょう。
先生自身の経験則に基づいたレッスン
先生自身も誰かにその曲を習っていた場合、先生の中にも「自分はこんな風に教わった」という経験があります。
もちろん、その教えが必ずしも生徒さんに合うとは限りませんが、発想の引き出しの一つには成り得ますよね。
仮に、先生自身は誰かにその曲を習っていない(=自力で研究して演奏した曲だった)としても、生徒さんよりは経験値がある(はず)・・・。
ですよねぇ。だからこそ私たちも習おうと思うのですよね。
もう一つ、ここだけの話。
先生側も、同じ曲を何度もいろんな生徒さんに教えていると、どう教えれば良いのか、わかってきたりします。
教える経験を積んでいるのです。
「先生の先生」の教えを受け継げるかも!
「伝統を受け継ぐ」みたいな感じかにゃ???
先生の先生のそのまた先生・・・・と系図を辿っていくと、相当なビックネームにたどり着いたりします。
教則本の著者とか、名演奏家とか、大作曲家とか…。
つまり、あなたの先生が、アノ誰それの孫弟子なり曾孫弟子なり玄孫弟子にあたる可能性が、非常に高い。
そんな大御所の教えを、あなたが受け継げるチャンスなのです。
いちばん現実的な部分では、指使いやボウイングでしょう。
私が、とあるヴァイオリニストのマスタークラスを受講した時の話。
曲は、サン=サーンスの「序奏とロンドカプリチオーソ」。
先生から「これはMax Rostalに教わったものだよ」と、あっさり指使いを教えてもらうことができました。
その指使いが目からウロコだったこと、自分にとっても弾きやすかったという2つの理由から、今もその指使いで弾いています。
先生が弾いたことない曲以外は教わらないデメリット
この世には、数え切れないほどの曲が存在します。
クラシックに限定したとしても、「星の数ほど」と言っても過言ではないでしょう。
加えて、あなたがこのブログを読んでいる今も、曲は生まれ続けています。
今を生きる大勢の作曲家が、作品を生み出し続けているからです。
そう考えると。
あなたの先生が弾いたことある曲の数<<<<<<世の中に存在する曲の数 になりませんか?
だからなに?
ひとむかし前は、ショスタコーヴィチの曲とか、今ほど演奏してなかったと思うよ。
きっと、初めて演奏した人が誰かいるはずだよね。
「ナマコ初めて食べた人」みたいな。開拓者。
そういう人がいなかったら、ショスタコの曲って今みたいな立ち位置になってないんじゃないかな。
もうちょっと昔だと、ドビュッシーとかバルトークとか・・・。
演奏家のレパートリーが狭まるのは、聴衆にとっても面白くないのではないでしょうか?
未来が先細りしていきます。
忘れちゃいけないのが、レッスンを受けたいあなたも、レッスンをする先生も、聴衆の一員だということ。
私が、弾いたことない曲をレッスンする時に気を付けていること
当たり前のことですが、まずは自力で可能な限りの勉強をします。
もちろん、実際に弾いてみるよ。
あとは、スコアを隅々まで読み込むとか、音源を聴くとか。
「自分ならこう弾く」「こんな風な解釈の可能性もある」など、可能な限り自分なりの考えをまとめておきます。
生徒が想像とぜんぜん違う弾き方してきたら、どう思いますか?
実際にレッスンをしてみて、生徒さんの弾き方や解釈から学ぶことも多々あります。
頭ごなしに否定しようなんて、私はこれっぽっちも思っていませんし、むしろ自分の新たな学びになったなと思うと嬉しいです。
答えは一つじゃないですしね。
(でも、音楽的に明らかに違うと感じたら指摘しますよ汗)
大事なのは、先生側の学ぶ姿勢だと思います。
レッスンを有意義な時間にするコツ
せっかく時間を割いてレッスンを受けるのですから、より有意義な時間を過ごしたいと思うのは当然のことでしょう。
先生から与えられた課題だけでなく、自分が弾きたい曲を持って行くのも良いですね。
でも、その時に気を付けてほしいことが1つあります。
それは、
あらかじめ出された課題以外をレッスンに持っていく場合、事前に知らせて頂けるとすごい助かる。
突然「今日とつぜんこの曲持って来たんですけど、教えてくださーい」と言われて対応出来る先生も中にはいらっしゃいますが、全員がそうとは限りません・・・汗
先生側も、より有意義なレッスンにするための勉強をしています。
いろんな曲のレッスンを受けて、ステキな生活を。
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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