コンサートの選曲(プログラミング)で気を付けていること
ここ最近、いくつかのコンサートに向けた選曲をやっていました。
弾きたい曲を好きなだけ、好きなように弾けるとしたら、それはそれで幸せです!
ところが、自主企画でもない限り、そんなチャンスはなかなかありません汗集客のこととか、ペイできるかとかも考えなきゃだし
演奏会のプログラムを見ると、なんとなく、演奏者の好きな曲や弾きたい曲が並んでいるように見えるかもしれません。
でも実は、様々なことを考えて曲を選んでいます。
今回は、私がコンサートの選曲で気を付けていることを紹介します!
1時間弱で、弦楽器を含む室内楽編成、と仮定して、プログラムを組むとしましょう。
客層の年齢から、選曲ポイントを考えよう
70歳以上がメイン客層のコンサートで妖怪ウォッチの曲を選ぶのには、無理があるでしょう。
子供向けのコンサートで演歌をやっても、たぶんウケない(きっぱり)。
よって、客層に応じた曲選びが必要です。
子供と大人では集中力がぜんぜん違います。
4歳の子供と10歳の子供も、一緒くたにはできません。
年代別に、気をつけるポイントをみていきましょう。
乳幼児向けのコンサート
基本的にじっとしていない方々が対象です(笑)
メリハリあるコンサート構成にしたいところ。
ただ聴かせるだけでなく、何らかの形で会場が一体となって音楽を体感するコーナーを作るなどの工夫が必要です。
- 手拍子など、体を動かして楽しめる曲を入れる
- 一緒に歌える曲を入れる(童謡・アニメのテーマ曲など)
- 1曲が長すぎないように(2~3分)
- ウケの良さは、速い曲>>>>>>ゆっくりな曲。
小学生向けの鑑賞教室など
意外と悩むのが、小学生向けのコンサート。
「3時間目は1~3年生、4時間目は4~6年生」みたいに学年が限定されると、学年に応じたプログラムを組めます。
ところが、全校児童がいっせいに聴くとなると、ハードルが上がります。
反応も、曲の好みも、1年生と6年生ではまるで違うからです汗
でも、乳幼児と小学生の決定的な違いは、ある程度の時間じっとしていられること。
多少は、じっくり聴いてほしい曲をプログラムに含めることができます。
- 知名度が高い(どこかで聴いたことがある曲、授業で習った曲など)
- 一緒に歌える(←主催者からリクエストが来る場合も)
- 楽器の特徴がわかる曲や、特定の楽器が活躍する曲
年齢層が比較的高めと思われる会(介護施設、敬老会、企業OB会など)
懐メロは含めましょう。
映画音楽も◎。
えー、そんな昔のこと、知らないよー。
「1950年代 流行った歌」とかでググるといいよ。
googleさんなら、だいたい何でも教えてくれるよ。
時間帯によって、観客の年齢層は変わる
時間芸術でもある音楽。
音楽会は、その日時に都合がつかない人は聴けない側面も持っています。
長期間にわたって開催できる展覧会とは、事情が異なる部分ですね。
夜のコンサートは、子供やお年寄りには辛いものがあります。
平日昼間のコンサートに行ける人も、これまた限られます。
(オフィス街のランチタイムコンサートはちょっと別かな)
幅広い客層で集客できるのは、やっぱり土日祝日。でも会場確保が激戦 汗
客層の中心はクラシックをよく聴く人?そうでもない?
音楽業界全体から見ると、クラシック音楽のファン数は、少数派です。
コアなファンか、そうでないかで、選曲も変わります。
クラシックをあまり聴かなそうなお客様が多い時
残念ながら「堅苦しい」というイメージを持たれてしまうクラシック音楽。
- 1曲が長い。
- 難しそう。
- 取っつきにくい。
気持ちはわかります(笑)
でも、「クラシック難しそう」と思っている方も、あなたにとって立派なお客様です。
ほんの少しでも、「来てよかったな」と思って頂けるよう、工夫しましょう。
大事なのはつかみ。
- 耳馴染みの曲(「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」「愛の挨拶」などが定番)
- ドラマ・映画・CMなどで使われている意外な曲
ふだんから、世間の流行にアンテナを張り巡らせておくと良さそうです。
コアなクラシックファンが多そうな時
どんなプログラムでも大丈夫。
媚びずに、あなたのオリジナリティ溢れるプログラムを組みましょう!
1曲あたりの時間は?MCも工夫しよう
子供や、クラシックを聴き慣れない大人は、長い曲に抵抗があります。
5分以上かかる曲は、「長い」の域に入ってしまうかも。
だからと言って、長い曲がダメという訳ではありません。
MCを工夫して、少しでも興味をひきつけましょう。
曲の背景や構造など、簡単で手短な紹介をできると良いですね。
池上彰さんのニュース解説みたいに・・・
聴いてほしい曲とお客様が聴きたい曲のバランス、せめぎ合い
耳なじみの曲ばかりのプログラムは、ウケがよいです。
反面、演奏家の将来を縮める可能性も持ち合わせています。
知らない曲だからやらない
↓
聴衆も育たない
↓
演奏家のレパートリーを狭める
・・・の悪循環。
未知の曲は、いつまでたっても知られぬまま。
なので。思い切って。
ガチで聴いてもらいたい曲を入れましょう!
少なくとも1曲は。
曲が有名かどうかは関係ありません。
お客様の反応も、さまざまでしょう。
でも、
「こんな曲もあるんだね!」
「あなたのポリシーが伝わってきた。」
みたいな感想を持ってくれた方が1人でもいたとしたら・・・嬉しくないですか?
(少なくとも私は、小躍りして喜びますよw)
主催者の要望
定期的にコンサートを開催している主催者なら、ふだんの客層をよく知っているはず。
リサーチを入れましょう。
選曲のヒントになります。あなたのオリジナリティが無くなる勢いでご要望を取り入れるのもどうかと思いますが汗
全体の統一感
コンサート全体を通じたテーマがあると、統一感を持たせることができます。
愛、星、家族、季節、ディズニー、アニメ、ドラマ、鉄道・・・あなたのお好みでどうぞ。
ぱっと見はわからないけど、わかる人が見ればわかる裏テーマなんて手も。
- 季節もの(春夏秋冬、クリスマス、お正月、卒業、入学etc.)
- ご当地もの(MCのネタにもなる)
いちばん大事なのは、あなたが演奏したいかどうか
思いつくままに書き出してきましたが、いちばん大事なのは、
あなたが演奏したい曲かどうか。
いやいや弾いている曲を聴くほど、お客様はヒマじゃない。
楽しもうと足を運んでくださるお客様を、ガッカリさせるわけにはいきません。
演奏者が真剣に音楽に取り組んでいる姿勢は、お客様に伝わるものです。
いつでも、いい気持ちで会場を後にしていただける演奏をしたいものですね。
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
レッスンのご案内ページはこちら
細々としたYouTubeはこちら