アマオケにおける音大卒の潜在的なニーズ
突然ですが、音大卒の人にどんなイメージをお持ちですか?
全部を兼ね備えた人はなかなかいません(笑)でも、一部分が当てはまる方はゴロゴロ・・・。
お嬢さま? | → | 女性比率は確かに高い。 ただし、すべての女子がお嬢様なわけではない。節約家もいる。 |
家が金持ち | → | 私立音大に4年間通ったら約800万以上はかかりますからねー。 裕福な家の子である割合は、必然的に多くなるでしょうね。 ※国公立だと、私立よりは安く済みます。4年間で約250万。 |
楽器が上手 | → | 入試の時に実技試験があって、一定以上の水準に達していないと合格できません。「誰でも入れるわけではない」という意味では、正解。 ※ごく稀に「東大と芸大を迷った」みたいな、天が二物を与えちゃったタイプの方もいらっしゃるので、「音大卒かどうか」と「楽器が上手かどうか」は無関係。 |
変人 | → | 「最後の秘境 東京藝大」という本が話題になりましたね。 最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常 卒業生として読んだ感想は、音楽学部についての部分はウソは書いてないよって感じです。美術学部とはあまり交流が無いので実情はよくわからないけど、めちゃくちゃ楽しそう!※変人集団の中にいると、自分も変人の一員であることを忘れがち。 |
で、こういう風にハチャメチャな書かれ方をする音大卒の人も、いずれ社会に出るわけです。
プロオケ奏者、ピアノ教室の先生、作曲家、フリーランスの演奏家、学校の先生、音楽関係の会社員・・・
中には、音楽を本職にしない生き方をする人もいます。
いっぽう、趣味で音楽を楽しむ分には、音大もへったくれもありません。
音大を卒業しなければ指導者になれない、なんてこともありません。
私は、何の成り行きだか、社会人になってからアマオケと関わるようになりました。
「未熟なゆえに至らぬ点もあるでしょうに、でも自分を使ってくれてありがとうございます!!!」という気持ちになりました。
一方で、「楽器弾く以外のことでも、音大卒の人材って活用できるのに・・・・・・・」と思えるケースにも、多々出くわしてきました。
この記事では、私がアマチュアオーケストラと関わってわかった、音大卒の知識や経験が役立てられそうなポイントを書いてみます。
※個人の経験に基づくもので、すべての団体に当てはまるわけではありません。
音大卒の活用法~アマオケ編
これから挙げることは、音大卒なら誰でもできること!とは言い切れません。残念ながら。
その人が積んできた経験や、周りの環境によっても、活用できるスキルが違います。
音大と一口に言っても、学校によってカリキュラムも微妙に違うし・・・。
でも、部分的にだったとしても、音大卒の人材が持つスキルが活用できる場面はあります。
トレーナー的ななにか
指揮者と楽員の間に立って、双方の橋渡しをすることができます。
中間管理職的なポジションですかね???
指揮者の指示が理解できずに困っている人がいたら、ちょっと助け舟を出すこともできるし、ラクな指使いとかも知ってる。
リズムや音の 致命的な読み間違い は、たぶん指摘できるはず。
選曲や、曲自体に関する質問のぶつけ先
たま~に「・・・なんでこういう曲の組み合わせになったの?」と思ってしまう演奏会のプログラムを、目にします。
暴動が起きてもおかしくないレベルの、「弦楽器いじめぢゃん」としか思えない組み合わせとかね。
「あれイイ曲だよね~綺麗だし♥」みたいなことだけではない、 意外な視点で 曲を聴いていたりしますので、「おぉ~そんな難点もあるのか!」ということに、気づけたりします。
ぶっちゃけ、団のセンスも問われます。
演奏時間や、作曲家の時代・国などは、大いに関係します。
答えるのが難しい質問もある
ぶっちゃけ、曲の難易度を聞かれると、私は答えに困ってしまいます。
「難しい」の意味が、人によって全然違うからです。
たとえば・・・
- アンサンブルが難しいのか
- 楽譜の通り音を出すのが難しいのか
同じ曲を、この2つの視点で比べただけでも、答えは変わります。
「曲の難しさは、一概に言えるものではない」とも言えます。
↓
自分の経験を話す。
「弾きにくいところがたくさんあったから、結構練習した」と答えるだけでも、「あー相当難しいんですねー」ということは伝わる(たぶん)。
弾いたことない曲なら
↓
素直に「弾いたことないからわからない」と言う。
下手なこと答えるのもアレだし・・・
ムダにハードル上がってるから「なんだよ音大卒のくせに」的なこと言われるリスクも考えたり 笑
「知ったかぶり」よりも、「知らないことを知らないと素直に言う」に軍配を上げたい。個人的には。
楽器の扱い方を聞いてみる
楽器屋さんに行かなくてもできる範囲の楽器調整、できちゃいます。
- ペグのキツさや緩さの調整
- 指板側に倒れそうになっている駒を直す(※くれぐれも慎重に!)
弦の交換や、弓の毛替えの頻度について質問されることもあります。
学校の保健室で応急処置をしてもらうような感じでしょうか。
手に負えなければ、もれなく病院(楽器屋さん)送りになりますけど。
- グランドピアノの蓋(屋根)の開け方
- グランドピアノを移動させる方法
※下手なことして壊さないように。
お値段がお値段なだけに、賠償する羽目になったらシャレにならないからね・・・。
裏方仕事あれこれ、舞台セッティングなども!
演奏会を自分で企画したり、友達の演奏会の裏方を手伝ったり。そんな経験も積んでいます。
(学校によっては、企画すること自体が授業の一環になっている場合も。)
小さな事に思えるかもしれませんが、チラシやプログラムの曲目表記についても、知恵を借りられますよ。
時々、「あー、わかってない人が書いたでしょ?これ・・・」と思えるチラシに遭遇します・・・。
誰か気付こうよ!って気持ちにもなります。おせっかいかもしれないけど。
ステージマネージャー(ステマネ)に気にしてほしいポイントや、舞台袖にあると嬉しいもの・危ないものに関する知識も持ち合わせているはず。
あと、意外に大事なのが、椅子の並べ方。
絶妙にアンサンブルが上手くいく並べ方を、彼らは体感で知っています。
ステージ衣装あれこれ、裏ワザも!
忘れた時の誤魔化し方。
女性のカラードレスのあんな話こんな話。
意外なコスト。
ユ○クロの**は舞台でもイケる。
などなど。学校では習いません(笑)どう転んでも、個人の経験値とか、人から聞いた話などになることでしょう。
音大生はどんな経験を積んでいくべきか?
今までさんざん持ち上げた音大生に向けた文を書きます。
- 自分の専攻楽器だけでなく、他の楽器やクラシック以外の分野にも視野を広げておこう。
- 裏方の仕事にも積極的に関わろう。
- 地球上の総人口から考えたら、クラシック音楽をやってる人なんてほんの一握り。クラシック音楽以外の世界も知ろう。
音大生向けの就職指南本が出回る時代になりました。
「音大卒」は武器になる | 「音大卒」の戦い方 |
これからの世の中、「楽器弾くしか能がない音大生」は、通用しなくなることでしょう。
自分の持つスキルを社会にどう役立てるか・・・そこまで考える時代なのかもしれません。
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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