現役音高講師が教えます!毎日5分でできる藝大・音大入試対策!楽典・聴音・新曲視唱・リズム課題
藝大・音大を受験する人が、実技以外に避けて通れない試験科目。
それは、
楽典・聴音・新曲視唱をはじめとしたソルフェージュ。
私立音大の中には、入試でソルフェージュを課さない学校もあります。
でも、入学したら必修科目。
入る前にも、勉強するに越したことはありません。
そんなこと言っても、楽器の練習で精一杯。
時間が無いわ!
楽器の練習を工夫すると、ソルフェージュの練習になるのになぁ。
というわけで。
この記事では、毎日5分でできる、東京藝大をはじめとした音大入試ソルフェージュの練習法をご紹介します!
実技はタテ軸、ソルフェージュはヨコ軸!
東京藝大の入試要項では、ソルフェージュは音楽に関する基礎能力検査という括りになっています。
専攻実技の力と密接に関わってるから、入試科目に入っているんですね。
ざっくり説明すると、こんな感じです。
- 楽典=楽譜を読みこむのに必要な知識
- 聴音=自分の音や周りの音やそこにある音楽そのものを聴き取る力
- 新曲視唱・リズム課題=音楽力や表現力を、楽器を通さず丸裸ではかる
言いかえると、図のように、ソルフェージュがヨコ軸を成すイメージです。
たて割りじゃないんだね!
まずはここから!新曲視唱の対策
問題集を頑張る…のも一つの手ではあるんですが。
もっと実践的な方法があります。それは、
これを、新しく譜読みする曲全てでやります!
エチュードも、もちろんです。
受験対策用の課題集よりよっぽど実践的で、モチベーション爆上がり!
入試対策になるだけでなく、自分の演奏も変わります。
ぜひお試しくださいね!
なんとなく楽器で音を出して、楽器に読ませてる状態はよくないよね。
すぐできる!リズム課題の対策
東京藝大は、リズムのみに特化した課題も出題されます。
新曲視唱と同様に、
という方法で対策できます。
「視唱から音程の要素を取っ払った感じ」って考えると近いですね。
- 拍を振りながらリズムだけ(=音程をつけずに)歌う
- 拍を言いながらリズム打ち
聴音の課題で、リズムが複雑な曲を活用するのもおススメです!
演奏に役立つ!楽典の勉強法
東京藝大の楽典は、音程・和音・音階・教会旋法・楽語など幅広く出題されていますが、
基本がわかっていれば解ける問題がほとんどです!
過去問を見てチンプンカンプンな所は、まずこの2冊で勉強してほしいですが・・・
あなたの目の前に、もっと実用的な教材がありますよね。
えー?なんだろう?
今あなたが練習している曲です。
簡単に取り組めるポイントもありますよ。
参考にしてくださいね。
- 楽語を調べる
- 難しいところの音程を調べる
- 重要そうな所の和音を調べる
- 転調経路を知って演奏する
わぁ!問題集やるよりも面白そう!
しかもぜーんぶ試験対策になるね!
確かに試験対策にはなるんですが、それだけでは無いようにも思えます。
???
専攻楽器に対して(あるいは音楽に対して)どんな風に向き合っているか?
その辺りが問われている試験にみえます。
なるほどー(わかってない)。
シンプルに言うと闇雲に練習するだけでなく一歩引いて曲を観察しましょう、ってことです。
どう演奏すべきかもわかるし、試験対策にもなるから、一石二鳥ですね。
はーい。がんばろうっと。
東京藝大の楽典は、実作品を使って出題されます。
自分のパート譜だけでなく、スコアを見る練習もしておきましょう。
専攻楽器以外の曲も良いですね。
ピアノ専攻の人は、好きなピアノ協奏曲もおススメだよ。
マルバツ問題に込められたメッセージ!?
最後の問題は、音楽に関する幅広い知識を問うマルバツ問題になっています。これが本当に難しい…トホホ。
なんでそういう問題が出てるのかな?
推測ですが、専攻以外の楽器や音楽にも興味を持ってね、というメッセージではないでしょうか。
あなたの専攻楽器の曲を書いてない作曲家もいるけど、その作曲家は、自分の好きな曲に影響を与えているかもしれない。
近い将来、今のあなたが名前を知らない楽器とコラボ演奏するかもしれない。
視野を広く持っておいて損は無いですよね。
そっかぁ。
自分の世界が広がりそうだね!
周りに受験生仲間や音楽をやっている友達がいれば、友達がやっている曲や楽器に興味を持ってみましょう。
そして、
楽譜はどうなってるの?
どうやって音出してるの?
みたいな初心者丸出しの質問を、バンバンぶつけちゃいましょう!
質問された友達にとっても、新鮮な発見になるはずです。
過去問を見たんですが、今まで知らなかったことばかりです。
こんな感じでも大丈夫でしょうか。
過去問を見て知ったのがきっかけで視野が広がるのでも、かまわないんじゃないでしょうか。
先々のことを考えたら、大いにプラスだと思いますよ。
本当にわからない時は、鉛筆を転がしましょう・・・マルかバツを書けば、2分の1の確率で当たります!
代わりに、他の問題を落とさず取れるよう完璧に仕上げておけば、ちょっと不安は減る。
ここだけの話・・・私が受験生だったらマルバツ全問正解できる自信ない。
ないんかい!
聴音の対策、はじめの一歩!
とてもシンプルで、
①自分が出した音を全部聴く
②出そうとしてる音を聴く
③周りの音や、そこにある音楽を聴く(伴奏、アンサンブル相手など)
とにかく、聴く。
この一言に尽きます。
単旋律聴音が記憶聴音に変更!
2025年度版入試要項によると、2026年度入試から、単旋律聴音が記憶聴音に変更されることになりました。例題と共に掲載されています。(こちらからリンクをたどってください)
実際に出題されるのは2026年実施入試なので、今(2024年末)は例題から推測することしかできませんが、
例題を見るに、音楽的に聴くことを勉強してください、という意図が込められているように思います。
音楽的に聴くってどういうこと?
すごくシンプルに言うね。
この曲聴いてみて。
今のを楽譜に書くとなったら話は別だけど、笑
「あ、あの曲だ!」てことはわかったんじゃないかな?
うん!
その気になれば何拍子ででも書けるし、何調とも言ってない。
今の曲を音名や階名で聴こうとした人って、どれぐらいいるんだろう。
それこそ、絶対音感持ってる人ぐらいじゃないかなぁ。
わかったようなわからないような…。
音楽を音楽として聴くことと、聴いたことを楽譜の情報に落とし込むことはちょっと違う。
よくある「難しい聴音の問題」だと、音やリズムを書くことにエネルギーを割かざるを得ないから、音楽として聴く余裕が無くなっちゃうんだよね。
音の名前がわからなくても「いい曲だなぁ」って感じるのはできるし、耳コピで演奏だってできる。
もちろん藝大は専門家を育てる機関なので、聴いた音楽と楽譜とを結びつける力がある人に入ってもらわないと困るわけだけど、その能力は今までの複旋律聴音や和声聴音でじゅうぶん測れるし、実際の西洋音楽でほんとうに単旋律しかない曲ってあんまり無いから、複旋律や和声聴音を通じて和声的に聴く練習をしたほうが、実技の演奏にもプラスになるんじゃないかな。
むずかしいなぁ・・・。
でも、藝大が意地悪してるんじゃないことはわかったよ!
そうだね。笑
ふだんからできる対策はある?
「対策」という言葉がふさわしいかどうかはさておき、
練習してる曲以外の音楽をたくさん聴く。
これに尽きるんじゃないでしょうか。
スキマ時間で出来そうだ!
それも、なんとなく、漫然と聴くんじゃなくて、
- この音型いっぱい出て来るな~。
- このリズム多いなぁ。
- ん?転調した?
- 嫌な感じの和音だなぁ…
- アーメン終止っぽい気がする!
みたいな感じで、分析的に聴いてみましょう!
最初は「なんとなくそんな気がするような・・・?」ぐらいのテンションでOK。
そして、楽譜が見れる曲や気に入った曲は、楽譜を見てみましょう。
気になった部分だけでもOK!
わぁ!楽譜はこういう風になってるんですね!
よく聴いてる曲ですが、楽譜をちゃんと見るのは初めてです。
自分の貯金が増えた感じで嬉しいです。
聴こえた感じと、楽譜の見た目を結び付ける作業とも言えますね。
数をこなすと、自分の中の貯金が増えていって、ある日どこかで
「あの時のあれだ!」
みたいな現象が起きますよ!
今回たまたま単旋律聴音が記憶に変わりましたが、二声聴音や和声聴音も、音の名前とリズムだけ聴けるようになることがゴールではありません。
単旋律課題と同じく、音楽的に聴くことを目指したいですね。
たとえば、この和音を聴いた時に
「ソ・シ・レ・ファ」「C, E, G, B」みたいに、階名や音名がわかることよりも、
「属七だ!」
「ドミナントだから、次は主和音に解決するのかな?」みたいなのがわかるほうが、
実際の曲においては、大切なんじゃないでしょうか?
「音楽的に聴く勉強をしてくださいね」という意味での変更じゃないかな?と、
例題を見て感じました。
楽器の練習と同時にソルフェージュも練習しよう
楽器の練習を工夫すると、ソルフェージュの練習になります。
別枠で時間を作って勉強するだけでなく、普段の練習を工夫して、自分のアンテナを張っていきましょう。
演奏がどんどん良い方向へ変わっていきますよ♪
本記事で紹介した勉強法は、あくまでも一般的な入試対策にプラスする形で行うものであり、藝大入試対策ができる教室や先生のもとで指導を受けることを前提とした内容です。
工夫しだいで、ソルフェージュの力は伸ばせます!
この記事が一助になれば幸いです。
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ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。都立芸術高校・東京藝大をヴァイオリンで卒業後、東京藝大院修士ソルフェージュ専攻を修了。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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