入試攻略!東京藝大音楽学部を目指す心構えと対策を藝大卒音高講師が語ります
一般入試のシーズンになりました。
私が受験したのはだいぶ昔ですが、(センター試験にリスニングが無かった頃。歳がバレる。笑)
藝大入試の本質はひとつも変わっていません!
東京藝大を目指したい人や、興味がある人の参考になれば嬉しいです。
本記事は、勤務校で藝大志望の生徒向けに話した内容を再構成したものです。
東京藝大の環境は魅力的!
東京藝大は、同じ楽器の仲間だけでなく、音楽に関するいろんな人がすぐそこにいます。
いろんな楽器の人、作曲する人、歌う人、邦楽の人、研究者・・・
美術学部もあるので、足を踏み入れるだけでも、自分の世界を広げられます!
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名前も聞いたことない作曲家の研究をしてる同級生と、YouTubeにもほとんど無い曲の日本初演をするとか、
作曲科の人が書いた曲を本人と議論を交わしながら音にするとか、
いつも着物姿で授業を受けてる人が実は「ナントカ流何代目」とか。
藝大ではよくある話だと思う。
魅力的な環境、憧れちゃいますね。
この環境を目指してチャレンジする過程は、自分を大きく成長させることができます。(入学できなかったとしても)
ゆえに競争率は高い。見かけの数字と実質倍率は違う
音楽を極めたい人にとって、これほど魅力的な環境はありません。
当然、全国から志願者が集まります。
(昔よりずいぶん減ったとは言え)演奏系で志願者がいちばん多いピアノ専攻を例に考えましょう。
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近年の志願者がだいたい100人ぐらい。合格者は20人ちょっとです。
(わかりやすい数字にしています)
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ざっくり5倍だね!
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残念。
合格者20人の中には、藝高生が約10人います。
藝高→藝大はエスカレーター式に進学できるシステムではないため、普通に(外部生と一緒に)入試を受けます。「下駄を履かせる」的な仕組みは一切ありませんが、みなさん実力で合格を勝ち取っていきます。
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???
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つまり、残り枠の約10人を90人で争うってことだよ。
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実質9倍!?
たいへんだ!!!
ピアノ・ヴァイオリン以外(管楽器、低弦楽器など)は、藝高生がいない楽器もあります。
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いても1〜2人って所かな。
ですが、管楽器や低弦楽器は大学での合格者数も1ケタ台なので、あまり無視できない話です…。
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ざっくり言うと、全国で同じ楽器をやっている同学年の、上位数人が入れる世界です。
浪人して頑張る人や、他の大学で1~2年頑張ってから受け直す人もいます。
とは言え「浪人して1年余計に頑張れば入れる」という世界でもありません。
私の1つ下の学年には、上手な人が全国的にたくさんいたので(皆さん各方面でご活躍中)、「自分の実力では浪人したら無理だな」と思っていました。
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実際、先生にも「あなたは浪人したら厳しいよ」って言われました。
伸びる人・上達が早い人・成長が早い人に共通すること
東京藝大の入試は科目が多く、当然ながらやることも多く、求めらるレベルも高い…とわかったあなたは、焦る気持ちでいっぱいかもしれません。
上達や成長には、意外と、マインドの持ち方が影響します。
詳しくはこちらの記事へ。
専攻実技が最優先!
東京藝大を楽器で受験するあなたが最優先で取り組むべきは、専攻実技です。
どの楽器も、1次試験では基礎的な技術を、2次試験では音楽性を審査される課題になっています。
1次を突破しない限り、2次は受けられません…!
詳しくはこちらの記事へ。スケール編・エチュードと2次試験編
ソルフェージュ・副科ピアノ
実技試験を通過すると、楽典・聴音・新曲視唱・リズム課題(俗に言うソルフェージュ)と副科ピアノの試験があります。
実技がよかったのにソルフェージュが壊滅的で落ちた、副科ピアノが準備不足でダメだった…そんな事例もあります。しっかり対策しましょう。
詳しくはこちらの記事へ。
また、単旋律聴音が記憶形式に変更されることが発表されています。
何故そうなった?対策はどうしたらよい?
藝大受験生の共通テスト対策3ヶ条!?
演奏系の専攻を受ける人向けの内容です。楽理科と音楽環境創造科は共通テストの配点が高いので、予備校などできちんと対策することをオススメします。
藝大受験は科目が多く、中でも専攻実技を最優先に取り組む必要があります。
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ぶっちゃけ、家でお勉強する時間ほぼ無いよ。
出来たとしても、物理的(環境的)に音出しできない時間になると思う。
ここで、当時の私がセンター試験対策の勉強をどうしていたかご紹介します。
今は「共通テスト」になりましたが、少しでも参考になれば嬉しいです。※効果は保証しません。
- 学校の授業をきちんと受ける
- 問題文を先に読む
- 捨てる勇気を持つ
その1:学校の授業をきちんと受ける
なるべく家で勉強しないで済むように、まず学校の授業をちゃんと受けましょう。
必要に応じてスキマ時間を使い、最低限の予習や復習をしましょう。
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レッスンに行く電車の中でも、英語の参考書を広げていました。
その2:問題文を先に読む
(特に国語で顕著だと思うのですが)問題文を先に読むと、本編の文章の読み方が変わるように、当時の私は感じていました。
「読むべきところがわかる」とでも言いましょうか…。
英語もおそらくそうではないかと思います。
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ぶっちゃけ楽典もそうだよ。
問題を先に読もう。
その3:捨てる勇気を持つ
幸いなことに、楽器で藝大を受験する人は、満点を取る必要はありません。
なので。
過去問をいくら勉強してもわからない問題を、捨てる勇気も必要です。
私は、配点の大きい問題を頑張り、過去問を何回解いても一度も当たらなかった問題を捨てました!笑
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マークシートだから、困ったら鉛筆転がせばいいと思って。
わからない問題を捨てたら0点まっしぐら!というあなたは、わかる問題を増やすのが先です。
まずは授業を理解できるように頑張ろう。
入学できたら何をしたい?願望を表に出そう
受かることが目的になると、入ってから燃え尽きて、行き詰まります。
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何を隠そう、私がそうでした。
小さなことでも良いので、入学できた後の願望を書いたり、口に出したりしてみましょう。
頑張る原動力になります。
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すごい上手な人たちに囲まれて、オケとか吹奏楽をやりたいな!
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ベートーヴェンの弦楽四重奏を全曲やりたい!
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ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。都立芸術高校・東京藝大をヴァイオリンで卒業後、東京藝大院修士ソルフェージュ専攻を修了。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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