オーケストラ曲の指使い、どうしてる?
ヴァイオリンでオーケストラに参加する時、避けて通れない関門が
指使いを自分で考えること。
ソロ曲の楽譜や教則本には指使いが印刷されていますが、
オーケストラのパート譜に、指使いは、基本的に書かれていません。
なので、自分で考えることになります!
えー、困ったなぁ。
ぜ~んぶ隣の人に教えてもらおうかなぁ。
いやいや、自分も迷う時があるから、誰かに聞きたいんですよねぇ〜。
今回は、私がアマチュアオーケストラで見てきた指使いに関する問題や願望を3つ、掘り下げてみようと思います。
オーケストラで開放弦は使う?使わない?
オーケストラの曲で開放弦(指番号0)を使って良いのか、使わないほうが良いのか?
気になりませんか?
いっぱい使いたいな!
弾くのが簡単になりそうだし!
私は1音たりとも使いたくないわ。
意地でも。
とまあこんなふうに、考え方はいろいろですが、
ワタクシ個人的には
開放弦わりと使いたい派
です。😄🎻
オーケストラで開放弦を使うメリット
大まかに2つあると思います。
オーケストラで開放弦を使うメリットその1:豊かな響きを出しやすい
何と言っても、開放感のある豊かな響きを得やすい!大きなメリットです。
音階の音に開放弦の音が含まれている調性の場合は、このメリットが顕著に表れます。
- G dur(ト長調)
- D dur(ニ長調)
- A dur(イ長調)
- E dur(ホ長調)
- a moll(イ短調)
- d moll(ニ短調)
- g moll(ト短調)
- e moll(ホ短調)
オーケストラで開放弦を使うメリットその2:演奏に対する心理的負担を軽減できる
開放弦の音を弾く時は、演奏に対する心理的負担がちょっと減っている気がしませんか?(個人差ある?)
弓で弦をこすれば音が出るので、左手の心配をしなくても、音を間違える可能性が減ります。
弾く弦さえ間違えなければいいんだよね!
そうだね。
弦さえ間違えなければOK。
また、開放弦を弾いている間にポジションチェンジすることもできます。
時間と心に余裕が生まれるので、一石二鳥。
オーケストラで開放弦を使うデメリット
オーケストラで開放弦を使うことに対して、残念ながらデメリットもあります。
オーケストラで開放弦を使うデメリットその1:音質が曲の雰囲気にそぐわない場合がある
開放弦は豊かな響きをもたらしますが、それが仇になる時もあります。
くすんだ音が欲しい時とか・・・。
また、(特にE線は)開放弦独特の金属的な音が、周りの音に比べて、異質に聴こえる可能性があります。
オーケストラで開放弦を使うデメリットその2:音程(ピッチ)を微調整できない
これ、わりと大きめな問題。
和音の中の音を鳴らすとき、開放弦で弾いていると、周りの響きに合わせてピッチを微調整できないんですね。
残念ながら開放弦を潔くあきらめたほうが良いケースも、多々あります・・・。
その楽器の最低音(ヴァイオリンならG線、ヴィオラ・チェロならC線)だったら、みんなに合わせてもらうほかないけどね。
オーケストラで開放弦は使うべき?使わないほうが良い?
オーケストラで開放弦を使うかどうか?
結論としては、
一概に言い切れません。
言いきれないんかい。
とは言え、
- 曲のその場の雰囲気を阻害しない
- 開放弦を使うことで演奏のストレスを軽減できる
少なくともこの2条件が揃ったら、開放弦を使って良いと思います。
でも、万が一、指揮者やトレーナーの先生から「そこは開放弦使わないで…」って指示があったら、従いましょう。
ポジション移動したくない願望
ファーストポジションだけで弾きたいなぁ。
すごく高い音あったら無理でしょ。
第2ヴァイオリンだから、そんなに高い音は出てこないよ!
はたしてそうかなあ。
ポジション移動は、オケの曲では避けて通れません。
セカンドヴァイオリンは確かに音域が低めですが、
1stポジションだけで弾くのは、残念ながら不可能です…。
えぇーっ。
やっぱり練習しなきゃダメかぁ。
ファーストポジション以外のポジションは、高い音を弾く以外にも使い道があります!
ポジション移動を使ってラクに弾こう
オケ曲を弾く時は、サードポジションやセカンドポジション辺りの、わりと低めのポジションを上手に使うと、ラクに弾けるようになります。
この楽譜の2音を例に考えてみましょう。
ファーストポジションだと、E線2指→D線3指の動きになります。A線をまたいで移弦する形ですね。
先ほどの楽譜のように、音と音のあいだに休符がある時は、移弦をする時間があるので、ファーストポジションでも問題ありません。
でも、次のような楽譜だったらどうでしょう。(速めのテンポと仮定します)
ファーストポジションだと移弦が間に合わなさそうだ。
このようなときは、サードポジションを使って、1音目を4指、2音目を1指で取ります。
先ほどの楽譜を弾く時の指を、サードポジションとファーストポジションで比較すると、こうなります。
なるほど、手の形がだいぶ違いますね。
オーケストラの曲をファーストポジションだけで弾くのは、大変困難を極めます。
ポジション移動は避けられませんが、使うメリットのほうが大きいので、腹を括りましょう。
使う回数を、ちょっとずつ増やしていけば大丈夫。
できれば小指使いたくない願望
小指使うのが苦手だから、指番号の4は使いたくないなぁ。
じゃあ、1と2と3だけで弾いたらいいんじゃない?
ポジション移動が増えるから嫌だよ!
もっと簡単な楽譜なら良かったのにぃ。
それは作曲家に言ってよ…
(言われても困るよね、たぶん。笑)
4の指(小指)が苦手、使いたくない…
その気持ち、よくわかります。
私も正直なところ、あまり得意ではありません😅
でも、使わなければいつまでも苦手なまま。
むしろ退化していきます。
少しぐらい使ってみても、バチは当たらないんじゃないでしょうか。
音楽的な指使いで弾こう
指使いを考えるのも、譜読みの1ステップです。
自分の都合だけ考えた結果そこにある音楽を無視…これだけは避けたいところ。
どんな響きなのか…
どんな雰囲気の場所なのか…
指使いを考える時に、ちょっとだけ気にしてみませんか?
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ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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