絶対音感の誤解と真実――ドレミでは表せない音の世界
あなたは、絶対音感にどんなイメージを持っていますか?

万能?

すごそう!
この記事を読むと、絶対音感の誤解と真実がわかります!
絶対音感の一般的なイメージ
絶対音感は、一般的にはこう説明されます。
身の回りの音がすべてドレミで聞こえる。

音の出る信号機や、救急車のサイレンは、ドレミで聴こえるよ。

ちょっと待てえい。
机を叩く音も?

あっ!言われてみれば、それはドレミで言えないかも。
中には、机を叩く音すらもドレミで聴こえる方がいらっしゃるかもしれませんが(私は違う)
1つだけはっきり言えるのは
世の中の音全てを西洋式のドレミで表すのは不可能。

私は、音程の無い打楽器(大太鼓など)の音は、ドレミでは聞こえません。
ピッチの明確な音が聴こえた時は、「ピアノの鍵盤でどこがいちばん近いか」は一応わかります。
440Hz(時報の音)と442Hz(一般的なチューニングのA音のピッチ)を鳴らされたら、即座に聞き分けられる自信はありません(その時の体調や気分によっても変わるので)。
西洋音楽以外の音楽を聴く時は、ドレミでは聴いていません。
絶対音感は、曖昧な基準を示す能力にすぎない
絶対音感は、全ての音がドレミでわかる能力ではありません。
なぜなら、
世の中には、鍵盤で表しきれない音があるから。
一般的に音楽で使われる音には楽音と噪音の2種類があり、ドレミで表せるのは楽音のほうです。
- 楽音:音の高さ(ピッチ)を感じられる音。大半の楽器や人間の声が発する音はこちらに分類される。
- 噪音:音の高さ(ピッチ)が不明確な音。物がぶつかる音。騒音(noise)ではない。
また、ピアノでは「E」と「F」の間に鍵盤は存在しませんが、
ヴァイオリンなど自分で音を作る楽器では、「E」と「F」の間の音も作ることができます。

大学時代の話。
友達の誘いで、インドネシアのガムランという楽器を触る授業に出ていました。
ガムランと一口に言っても何種類かの楽器があって(詳細はwikipedia)、
私が触った楽器は、金属の板が鍵盤状に並んでいるものでした。
見よう見まねで叩いてみると、
何となく音階っぽい音は出るものの、
それまでに聴いてきた西洋音楽の音階とは、
全く違う世界でした!
「自分の知っているドレミファソラシドとは違う世界があるんだ!」と感じたのを思い出します。

これもまた大学時代の話。
音大で教職課程をとると、日本の伝統音楽に関する授業があります。
その中で、能の有名?な一節の歌い方を教わりました。
あまり詳しく覚えてないのですが、音の高さは3~4種類しかなく(白鍵7つと黒鍵5つの12種類より全然少なかった!)、
その音程を覚えて歌うんですが、
ガムラン同様、それまでに聴いてきた西洋音楽の音階とは全く違う、知らない世界でした。
今まで自分がやってきた「音楽」は、大変に狭い世界のことだったんだなと、何かを突きつけられた感じでした。

平均律のピアノと絶対音感
絶対音感をつけるトレーニングは一般的に、平均律で調律されたピアノで行われます。
チューニングの「A」は442hzに調律され、(狂わない限り)変わることはありません。

ピアノは簡単に音が出るから、手っ取り早いよね。
でも、弦楽四重奏みたいにピッチを絶妙な感じで合わせていくことはできないよね。

そうだねぇ。
弾き方で微調整できなくは無いけど、
ピアノにとっては、けっこうな高等テクニックだよ。

ってことは、ピアノしか知らない人の中には、純正律とかピュタゴラス音律を知らない人もいるってことかな?

その可能性は大いにあり得るね…。
ソルフェージュのレッスンに平均律のピアノを使うこと
音楽の基礎トレーニングであるソルフェージュのレッスンも、平均律のピアノが多く使われます。
指導者自身が、平均律とそれ以外の音律の違いをわかって、平均律の欠点をうまくカバーできれば、
一番便利な道具です。
使わない理由がありません。

ピアノがすべての中心と思わないことが、第一歩だと思います。
指導先のオケの飲み会にて。
横の席で、吹奏楽経験者どうしで、
「純正律の長3度と平均律の長3度は●セント違う」という会話がなされていました。
「この会話には絶対入れないな…」と思いつつも聞き耳を立てていたら
「ねぇ先生そうですよね?●セント違いますよね!?」と聞かれ。
申し訳ないけど、答えられなかった。
なぜって?
私にとって音程は、耳で合わせるものであって、数字で計るものでは無かったからです。

数字よりも感覚が先にある感じ。
ヴァイオリン演奏と絶対音感
ヴァイオリン演奏に絶対音感は・・・
変な絶対音感なら、いらない。

自分で音程を作る楽器なんだから、絶対音感あるほうがうまく弾けるんじゃないの?

そうでもないんですよ。
ヴァイオリン奏者が絶対音感を持つメリットとデメリットについては、こちらへどうぞ!
千葉県流山市のヴァイオリン・ソルフェージュ教室ホームページはこちらから。
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ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。都立芸術高校・東京藝大をヴァイオリンで卒業後、東京藝大院修士ソルフェージュ専攻を修了。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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