ヴァイオリン奏者が絶対音感を持つメリット・デメリット
まるで万能な能力のように語られる絶対音感。
(本当はそんなことはありません。詳しくはこちらの記事をご覧ください)
ヴァイオリン奏者が絶対音感を持つことには、メリットとデメリットがあります。
私の経験をふまえてご紹介します!
ヴァイオリン奏者が絶対音感を持つメリット
ヴァイオリン奏者が絶対音感を持つメリットは、3つあります。
記譜の音から実際の音を思い浮かべるまでが早く、譜読みが早い

一番のメリットみたいだね!
初めての曲を譜読みする時は、
- 楽譜上の音
- 実際に鳴る音
- 指板上の位置
の3つを結び付けていくのですが、
絶対音感保持者に言えるのは
楽譜上の音から実際に鳴る音を思い浮かべるのが早い
ことです!

「暗譜が速くなる」説もあるみたいだけど、自分の感覚では、絶対音感と暗譜力は必ずしも結びつくものではないと思う。

ねぇねぇ、他には?
ヴァイオリンで音マネができる
言葉で書くより、動画を見ていただくほうが早いと思います。
こちらの動画をご覧ください。

才能の無駄使いじゃん!

たしかに。笑。
でも、こっちの動画の領域まで昇華できれば話は別だと思う。
音大・音高受験の聴音を速く正確に書ける

???
どゆこと?
この音声を聴いて
この楽譜を思い浮かべるまでのスピードが速い

ということです!

それって演奏の役に立つの?

難しい質問だなあ。
難しい聴音書き取りができることと演奏の上手下手は、必ずしも比例するわけじゃないよ。
(そして、近年の東京藝大の入試問題は、言うほど意地悪じゃないと思う。)
絶対音感は、曲を理解する助けになります。
しかし、決して「絶対音感がある=上手に弾ける」ではありません。過信は禁物です。
ヴァイオリン奏者が絶対音感を持つデメリット
ここまで、ヴァイオリン奏者が絶対音感を持つメリットについて述べてきました。
メリットがあれば当然、デメリットもあります。
ヴァイオリン奏者が絶対音感を持つデメリットは、3つあります!
移調が苦手
絶対音感を持ってる人が苦手なもの第1位を発表します。
それは・・・

移調です!

胃腸が弱くて・・・

それは静岡が舞台の某アニメに出てくる子。
音程関係や旋法を変えずに、別のキーで演奏すること。例:ハ長調の曲をト長調で演奏する
カラオケで、キーを変えて歌うことは、「移調して歌っている」と言えます。
移調が苦手で困ることは2つあります!
- 知ってる曲を違うキーで歌われると気持ち悪い
- バロックピッチの演奏に違和感を覚えてしまう

バロックピッチってなに?

通常よりだいぶ低く(大雑把に鍵盤1個分)チューニングする方法だよ。
古楽器の演奏でよく使われるよ。

言われてみれば、ちょっと違うような・・・・

絶対音感を持つ人は、この2つの演奏を、とても大きく違うと感じてしまうんだよ。

ほえーっ。
大変だなぁ。
かつては私も、
移調された演奏やバロックピッチでの演奏に、
違和感を抱いていました。
しかし、ソルフェージュの先生になって
生徒さんと一緒に移調の練習をし始めてからは、
移調された演奏を聴くのも、バロックピッチでの演奏も、
違和感なく聴けるようになりました!

こういうピッチでの演奏も好きです。
弦楽四重奏で、微妙な音程を調整する難しさに直面する
弦楽四重奏は、究極に美しいハーモニーを作ることができる演奏形態です。
お互いのピッチを聴き合って、響きを調和させていきます。

それなりの絶対音感を持っていた私が、人生で初めて弦楽四重奏をやった時に感じたことがあります。
それは、
本当に綺麗に響き合う音程がどういう感じなのか、全くわからない。

おそらく、それまでの私は、
2つ以上の音それぞれを、
相互関係でなく、単なる2つの「点」として聴いていた
のだと思います。

弦楽四重奏を極める気になれなかった理由の一つかもしれない…
音の役割に無頓着
同じ鍵盤の音でも、調性によって機能や役割は違います。


だからなに?

機能や役割が違うと、ピッチの取り方がちょっと違うんだよ。

へぇ~。

ハ長調の7番目の音としてのH音は、C音に近づけてちょっと高めにとることが多い。
でもト長調の3番目の音としてのH音は、G音と綺麗にハモるように、ちょっと低めにとることもあるよ。

そうなんだ。難しそう。
でも、その人にしか出せない味の演奏ができそうだね。
チェーン店と町中華の違いみたいな。

そうだねぇ。
誰が弾いても同じじゃ、面白くないよねぇ。
ヴァイオリン奏者に絶対音感は必要か?
ここまで、ヴァイオリン奏者が絶対音感を持つメリットとデメリットを解説してきました。
はたして、絶対音感は必要でしょうか?

もしかして、必須ってほどでもない?
はい、その通りです!
必ず必要なものではありません。
では、どんな音感が必要なのでしょうか?
それはこちらの記事で!
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ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。都立芸術高校・東京藝大をヴァイオリンで卒業後、東京藝大院修士ソルフェージュ専攻を修了。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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