ミのシャープとファは同じ音・・・じゃない!異名同音ってなに?

2018-08-13ソルフェージュ音律

先生、ミにシャープが付いたら、ファになるんだよね!

この言葉を、子どもたちから何回聞かされたことでしょう。

その度に、同じ説明を繰り返しています。

ミのシャープとファは、違う音なんだよ。

※本記事では便宜上、イタリア語の音名を使用します。「ミのシャープ=ドイツ音名のEis」「ファ=ドイツ音名のF」となります。

なぜ「ミのシャープ=ファ」と考えるのか?

前述の「ミのシャープ=ファ」論を出してくる子どもは、見事に全員、ピアノを習っている子でした。
納得の結果です。
なぜなら、彼らの身に起きているのは、次のような出来事だからです。

  • ミのシャープとファは、使う鍵盤が同じ
  • 鍵盤の場所と音名を結び付けて教わるケースが多い
同じ鍵盤を使うのですから、ミのシャープとファをイコールで結び付けてしまうのも、無理はないですよね。

 

「異名同音」という概念

名前が違うのに同じ音という異名同音
この考えは、 十二平均律(普通のピアノの調律に使う音律)にのみ通用する考え方 です。

名前が違うのに同じ・・・ん?
「池畑慎之介」=「ピーター」みたいな感じ?
んー、ちょっと違う気がする。笑

 

同じ鍵盤なら、ハ長調の音階をこう書いても問題ないんじゃないですかね?
scale_chaos

 

そう思った方、残念。
上の楽譜では、なんのこっちゃわからなくなってしまいました(汗)
楽譜を読む側の人が困るやつなので、よい子の皆さんはマネしないように 笑
鍵盤の上ではハ長調と同じ音になりますが、見た目がめちゃくちゃですね。
弾こうとすると、逆に難しい・・・。

異名同音とは呼ばれますが、同じ鍵盤になるだけで、同じ音ではないのです。「似て非なるもの」ともちょっと違うんだよなぁ・・・。

 

平均律のピアノで出すには難しい音の存在

突然ですが、長調の音階を歌ってみましょう(何調でも構いません)。
この時の7番目の音を、ピアノの音と比べてみてください。
変テコな絶対音感に毒されていない限りは、歌った音の方が、ピアノで弾く音よりも、少しだけピッチが高くなっていると思います。
(よくわからないという方は、7番目の音を意図的に、ピアノで弾く音よりも高く歌ってみてください。)

音階の7番目の音に隠されたヒミツ
音階の7番目の音は導音と呼ばれ、音階の1番目(=8番目)の音(主音といいます)を導く役割を持っています。
導音を少しだけ高くとる=主音との距離が狭まることによって、導音が主音に解決した時のスッキリした感が増して、イイ感じの演奏になるのです♪
※導音を高くする度合いは、曲が作られた時代によって微妙に変わります。

どの長調でも、導音と主音の間は半音になっています。
3番目と4番目の音の間も、半音です。

導音を高くとる場合は、 「導音ー主音」間の半音と、3番目と4番目の間の半音は、幅が違う ことになりますね。
ところが、平均律のピアノで弾く場合、この2カ所の半音は同じ距離になります。
つまり、 音階が平板化してしまう ということ。

導音を高めにとり、ピアノで表すのは難しい微妙なピッチの音を表現することで、生まれる味わいがあります。
その微妙な違いを味わって、ワンランク上の音楽表現を楽しみたいですね。

 

ピアニストにも無関係な話じゃない

ここまで書いてきた微妙なピッチの音の話ですが、ピアノで全く表現できないわけではありません。
ただ、非常に高度なテクニックなので、私のブログで詳しく扱うのは難しい。

でも、一つだけハッキリ言えることがあります。

「歌ったら、ピアノにないピッチになりそうな音」だとわかって弾いている人と、そうでない人とでは、音の感じが全然違う。

アノ微妙な味わいを、一人でも多くのピアニストと共有できたらなぁと、思い続けています。