聴音を練習するとどんな効果がある?ソルフェージュ学習を演奏に役立てよう
音大入試ソルフェージュの代表格であり、世代によっては半ばソルフェージュの代名詞と化してる聴音。
なぜ聴音をやるのか、なぜ試験科目になっているのか、不思議に思ったことはありませんか?
もちろん、練習する意味があり、効果が期待できるからそうなっているんですが、
どんな効果があるのか、具体的に3つご紹介します。
聴音をやるなら、演奏でプラスになるようにしたいですよね。
聴音を練習する効果その1:聴いている「つもり」なポイントに気づける
自分の音、聴けていますか?
え、聴いてる(つもりだ)けど?
たとえば、間違えた時に「どこをどう間違ってしまったか」説明できますか?
うーん・・・そこまでは聴けてないかなぁ。言われてみれば。
そうなんです。自分の音を聴けてない人、意外と多いです。
私も、他のことを考えながら楽器を弾いてしまっている時は(良い子はマネしないように!😂)、自分の音を聴くのがお留守になっています😱
聴音で、意識して聴く練習をすべきポイント3つ
聴音の練習をする時に、意識して聴いてほしいポイントは、3つあります!
- リズム
- 音の跳躍度合い
- 音名(移動ドでも固定ドでも)
この3つを意識するだけで、自分が聴いている「つもり」だったポイントに気づけるはずです。
「ほへほへほへ〜」にしか聴こえなかったメロディが「ドミレファミソ〜」なのか「ドファレドミソ〜」なのかが判るようになり。
「ドーミレファミソ〜」なのか「ドミーレーファーーミーソーーーーー」なのかが判るようになり。
要するに
いつもフワッと聴いてる音楽の解像度が上がる
てことです。
それは何の効果があるの?役に立たないなら時間の無駄だしやりたくないわ。
説得力のある演奏につながります。時間はかかるかもしれませんが。
自分の演奏に表れる変化としては、
音の移り変わりをハッキリ認識できる状態になる→音の輪郭がはっきりする→演奏に説得力がプラスされる
といった感じでしょうか。
いずれにせよ、聴こえ方が変わってくるのは間違いありません。
聴音を練習する効果その2:聴こえる音楽と楽譜が結びつくようになる
耳で覚えてなんとなく弾けている感じの生徒さんに、
じゃあ○小節目から弾いてみよう!
と指示を出すと、とたんに反応できなくなることが😢
楽譜を見れば音、リズム、指使いなど書いてあるわけで、
先生としては
見れば思い出せるのでは…?
などと考えてしまいがちですが、
そうは問屋が卸さない。
おそらく、彼らの脳内では、こんな問題が起こっています。
- 今、楽譜のどこを弾いてるかわからない。
- 楽譜を見ても、自分の動作と音楽が結びついてないので、何小節も前まで(あるいは3段ぐらい前まで!)戻らないと弾けない。
時には
- 楽譜に対して抵抗がある。
- ていうか、楽譜は単なる集合体。集合体恐怖症。
という生徒さんにも出会いました。
このような生徒さんにとって聴音の練習は、
楽譜に秘められた情報に近づくための、小さなステップになります。
聴こえる音と楽譜を結びつける→楽譜への親しみ度合いを増やす→楽譜に秘められた情報に近づく
といった感じでしょうか。
楽器のレッスンがスムーズに進むようにするのも、裏の目的です。😅
楽譜には様々な情報が書かれていますから、
音楽の本質に近づきたい!という目的があるのなら、聴音の練習はそのための1つの手段になり得る、
と言えますね。
聴音を練習する効果その3:なにげなく見ている楽譜に秘められた情報に気づける
勉強はインプットだけでなくアウトプットも大事!みたいな話がありますよね。
簡単に言うと、
- アウトプットすると、インプットしてるだけよりも、定着度が増す
- インプットにはアウトプットが欠かせない
てことだと思うんですが
あんまり簡単になってない!
あはは!笑
人に話すと頭が整理される現象がわりと近いのかな。
なるほど!最初からそう言ってよ!
文字でも音符でも、
読むのと書くのとでは、頭へのインプット度合いが違う気がしませんか?
黙読と音読を比べても、脳への刺激が違う気がしませんか?
小学校では、教科書を音読したり、漢字を書く練習をたくさんやりますよね。
ただ見るだけじゃなく、声に出して読んだり、手を使って何度も繰り返し書くことで、脳へのインプットが完了するんだと思います。(学者じゃないので予想ですが😅)
聴音の練習では、聴いたものを楽譜に書き起こします。
聴いてわかったことを実際に書き表すプロセスは、
何気なく弾いてるあの感じ、どうやって書けばいいのかな?
と考える過程です。
「書いてみて初めてわかる」現象が多発します。
新たな発見ができる瞬間ですね。
「聴音=書き取り」という図式が一般的ですが、幼い生徒さんなど書くのに時間がかかる場合は、次のような方法で代用できます。
- 記憶して歌う
- 記憶して楽器で弾く
というプロセスを多めにして、ノートに書く代わりに
- 音符カード・リズムカード・五線ホワイトボードなどで楽譜を作らせる
- 記譜と音の相違点を指摘させる(要するに間違い探し)
聴音を練習する効果を上げたいなら、わかったことを演奏に生かそう
聴音に限った話ではありませんが、
せっかく練習するのですから、その効果が演奏に出ると嬉しいですよね。
でも、わかったことを生かそうと思わない限り、効果は出にくいです。
聴音は聴音、練習は練習、と分けてしまっては勿体無いし、練習する効果も薄れてしまいます。
聴音の時間だけでなく、今この瞬間から、自分の出す音をもっとよく聴いてみましょう。
ちょっとずつかもしれないけど、聴こえる世界が変わってくるはずです。
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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