業務マニュアル作成とレッスンの共通点
私は、演奏のほかにさまざまなお仕事をさせていただいた中で、幾度と無く、業務マニュアルやガイドラインを作る機会がありました。
え?音楽家もそんなことする機会があるんですか?
音楽家かどうかって、関係ないと思うけど?
どんな仕事であったとしても、マニュアルやガイドラインが存在する職場・業種なら、誰かしらは、それらを作る側に回る機会があると思います(ゼロベースからの作成だけでなく改訂も含みます)。
人に物事を教えるという意味では、マニュアル作成とレッスン業には、通ずるものがありますね。
今回は、業務マニュアル作成とレッスンをする先生業の両方を経験して気づいた、共通点を書いてみます。
業務マニュアルやガイドラインは、読み手と書き手の意識差を縮めるはずのもの
業務マニュアルやガイドラインを必要としているのは、どんな人でしょうか???
赤ちゃんみたいな、なにもわからない人だよ!
そうですよね。
でも、「なにもわからない」と言っても2パターンあると思いますよ。
2パターン?
1つ目は、その仕事に関して初心者ゆえに、マニュアルがほしい場合。
2つ目は「前の職場と業務内容は似てるけど微妙に違う」パターン。
新しい職場でのやり方を知りたいときに、その職場向けに書かれているマニュアルの存在って、役に立つんですよね。
「郷に入りては郷に従え」と言われても、急には難しいですし・・・。
簡単に言うと、業務マニュアルとは、新人とベテランの意識差を縮めるものと言えるでしょう。
ところが。
マニュアルを書く人って、たいがいその業務に精通した人だったりしませんか?
ここで一つの可能性が浮上します。
マニュアルの読み手には新鮮な出来事=書き手にとって当たり前のことが、スルーされてしまう可能性。
マニュアルを読む人は、その業務については、何もわからない赤ちゃんの状態です。
子供からこんな疑問を投げかけられてる感じ。
ねえ、どうしてお空は青いの!?
(・・・当たり前すぎて考えたこともないや。)
うーん。どうしてだろうねぇ。
子供は、長い年月かけて成長してもらえれば万々歳な人たちです。
いっぽう、社会人はそうもいきません。
数ヶ月で戦力になってもらわないと、職場が困っちゃう。
したがって、マニュアルには新人が知りたい情報を、些細なところまで盛り込みたいものです。
新人がマニュアルから知りたい情報とは
では、一体どんなものが、新人が知りたい情報=マニュアルに入ってると嬉しい情報なのでしょうか?
答えはカンタンです。
- 書き手にとって「当たり前の日常」になっていること
- 聞かれたらつい「そんなことも知らないの?」と思わずヒドい返しをしてしまいそうな質問
- 不文律
厄介なのが、3番目の不文律でしょう。
口伝とか何となくで伝わってるやつですよね。
新人にとって一番「わけわからんわ!」って思うやつ(笑)
明文化できるものを明文化しておくだけでも、引き継ぎとか研修がラクになると思うんだけどなぁ。ほんの少しかもしれないけど。
業務マニュアル作成の適任者は、ベテランすぎず初心者すぎない人
理由は簡単。
仕事に慣れてきていて、初心者の気持ちをまだ覚えている人だから。
「初心忘るべからず」という言葉があるぐらいですしね。
私も初心に帰らなければ。
業務マニュアル作成に、レッスンをする経験が生きた!マニュアルとレッスンとの共通点
私はレッスンをする側に回ってみて、初めて気付きました。
「自分にとって当たり前のことが、生徒さんにとって当たり前とは限らない」ということに。
- 毎日練習する
- 心おきなく楽器を鳴らせる環境
- 楽譜をスラスラ読む(教わって訓練しない限り無理)
- 絶対音感
生徒さんは、自分が思ってもみなかった疑問を投げかけてきます。
予想外の反応も返してきます。
それらに対して驚いたり、ましてや「そんなのも知らないの?」と思ってしまっては、よろしくないですよね。
今「先生」になっている自分も、かつては「そんなことを知らなかった」のだから。
先生も「初心忘るべからず」ですね。
部署が違えばカルチャーすらも違う。教室や先生を変わるのと似てる
私は、母校の大学の研究室で、助手を務めました。
期間を空けて、2つの研究室で。
同じ大学なのに、同じ学部の中なのに、研究室が違うと、カルチャーが全く違いました。
すごくわかりやすい例を挙げると・・・
昼休みを一斉にとるか、バラバラにとるか!
ささいだねぇ(笑)
いやいやいや。
連れ立ってランチに行くのか、1人で行きつけの店に行くのか、お弁当持ってくるとか。
気持ちの面で大違いですよ。
若干話がそれました(笑)レッスンの話に戻します。
生徒さんにとっては、教室や先生が変わる=異文化に飛び込むといった感じでしょう。
私も、新しい先生のもとへ初めてレッスンに伺った時は、そんな気持ちだったなぁ。
もちろん、先生にはそれぞれご自分のやり方がありますから、前の教室や先生に迎合することはできません。
でも、時には、前の先生や教室のやり方も考慮しつつレッスンを進めるなどの対応が、先生側にも必要かもしれません。
一見すると共通点がなさそうな、業務マニュアルとレッスン。
どちらでも大事なのは、受け手の気持ちに立つことだなと思いながら、この記事を終わることにします。
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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