アマオケのボウイング考
オーケストラの弦楽器がどうしても避けて通れない問題、ボウイング。ボーイング。弓使い。弓順。Bowing。
実際にアマオケのボウイングを付けてきた経験から、思うことを書いてみます。
「普通はこうやるよ」が合うとは限らない。
ホントその通り。本職の皆さまがおっしゃる「普通は」ですからね…。
技量も練習量もさまざまな方が集まるアマオケでは、その「ふつー」が難しい場合もあります。
じゃあどうするか。
どんな感じの音を出したいか?
私はここから考えています。
硬い音、柔らかい音、はっきりした音、フワッとした音、なめらか、ごつごつ。
曲を聴いたりスコアを読んだりすると、音のイメージや雰囲気が湧いてくると思います。
そこから逆算します。どうやったらその感じの音が出るか。
弓の元、真ん中、先。どこを使うか。
スラー。どこで切るか、頑張ってひと弓で弾くのか。
ダウン、アップ。どちらの方がよりイメージに近いか。
あとはメンバーの技量に応じて、調整しましょう。
「ちょっと頑張ればできそう」なのか、「うー、ハードル高いよー汗」なのかでも変わりますね。
指揮者のOKが出れば、「できる人はAの弾き方で、難しい人はBの弾き方で」みたいに、2~3パターンの弾き方を作ってしまうのもアリだと思います。
ベルリンフィルの真似すりゃいいってもんじゃない。参考にはするけど。
ベルリンフィルの名前を挙げましたが、ウィーンフィルでもコンセルトヘボウでもニューヨークフィルでもN響でも…まあ要するにどこでも良いんですが、
あそこにいる人、本職の方々だからね。
加えて、
伝統もあるわけだし。
各楽団には、長年使っているパート譜があります。
そこには過去のボウイングも書かれていて、いわば「おばあちゃんの知恵袋」的な側面も持っています。
もちろん、指揮者の指示で変える時もあるでしょうが、(時には指揮者自身が所有するパート譜で演奏する場合も)
見た目だけ真似しても表現しきれない何かが、そこにはあるんじゃないでしょうか。
とは言いましたが、大いに参考にしてますよ。
最近は映像も簡単に見れるようになりましたし。
いくつかのオケで同じ曲を聴き比べて「あ、ここはやっぱりダウンからだよね!」って自分の考えと同じだと、嬉しくなります♥
指揮者やコンマスの好みは出ます。
好みというか「その曲をどうとらえているか」でしょうね。
私が具体的に迷ったことを2つ挙げてみます。
「裏拍のアクセントはダウンで弾くべきかアップで弾くべきか?」
「このスラー途中で弓返したくないなー、でもYoutube見たらだいたい返してるなー…(迷)」
曲によりけりなのはもちろん、その箇所で求められる空気にもよりますので、残念ながら一概に語れるものではないです。
ボウイングで全ては表せない
弓のどこを使うか、量はどのぐらい使うのか。
これは、ダウンアップの記号だけでは表せません。
(もちろん、長~~~いスラーで途中に弓を返す指示が無ければ、それは全弓の可能性大でしょうけど…。)
指揮者から具体的な指示が出る場合もありますが、周りの方と協力して、弓の量や場所を解明しましょう!
変わったら、消しゴムで消して、鉛筆で書こう。
変わった時点でbeforeは要らんのです!さっさと消しましょう。
後学のためにbeforeを残しておきたい方は、自分用にコピーをとって、そこに書くことをおススメします。
「鉛筆でぐぢゃぐぢゃって塗って元のボウイングを消す」は非推奨。
急いでるときはしょうがないけど、休憩時間に消しゴムで消しましょう!
「家帰ってからやるからいいや…」→絶対忘れるよ。
この項を読んでお気づきになった方もいるかもしれませんが、
楽譜の書き込みは鉛筆でね、くれぐれも。
シャーペンだと消しにくいのだ。
ボウイングが印刷された楽譜なんて言語道断なのだ。コピー元に書いてあるボウイング、厄介なんですよねぇ…
いつまでに決めるか?
初回の練習日までにある程度決まっていると、ラクだと思います。
練習も、より有意義な時間になることでしょう。
練習を始めたばかりの時期なら、変わってもじっくり体を慣らしていくこともできますし。
いちばん避けたいのが、本番直前のボウイング変更。
長い練習期間で、体に染み着いているものが多々ありますよね。
私は、「可能な限りボウイングの直前変更は避けたい」と考えています。
直前にボウイングが変わると、演奏中も「あそこは今までと逆になったんだっけ…気を付けなきゃ!」と、気が気でないし、そんな気持ちで臨んだところで、良いパフォーマンスは生まれないような気がするのです。
私はこうやってます。
大雑把に、こんな手順で進めています。
1. スコアを読む
いろんなことをチェックしながら読んでいます。いくつか挙げるとこんな感じ。
- 同じ音型をやっているパート・楽器
- 音楽的な盛り上がりポイント
- 「どう転んでもここは絶対ダウンだ!」みたいな所
- キモになりそうなポイント(減七や属七など、事件性の高い和音の出現率高し)
2. 実際に弾いてみる
机上の空論では無理。
CDやYoutubeを聴きながら一緒に弾いたりもします。
3. 他のパートと相談して決めるところをあぶり出し
これはもちろん、お互いさまですよね。
それでは皆さま、楽しいオケLifeを!
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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