「譜読み」でやっていること~ヴァイオリンならでは・・・編
前記事「譜読み」でやっていること~音符に隠された情報編で書いた内容は、リズム、音、和声(ハーモニー)、コード、カデンツ、楽語、曲の構造や全体像を読むことも譜読みに含まれるんだよ!的なことでした。
今回は、ヴァイオリンならではの関門指使いとボウイングを読むことについて書いてみます。
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指使いとボウイングを読むのも譜読みのうち
ヴァイオリンにおける譜読みには、指使い(フィンガリング)とボウイング(弓使い)も含まれます。
え!?と思われた方もいるかもしれません。
でも、ヴァイオリンを弾く時にダウンかアップか、どの指を使ってとるか、気になりませんか?
弾き心地をも左右する大事なポイントです。
指使いとボウイングも含めて読む、ここまでやって初めて「譜読み」と言えるのではないでしょうか。
人によって違う?
例として、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(有名なやつね)の楽譜、3種類を挙げてみます。
メンデルスゾーン: バイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64/フランチェスカッティ編/インターナショナル・ミュージック社/ピアノ伴奏付ソロ楽譜
メンデルスゾーン: バイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64/フレッシュ編/ペータース社/ピアノ伴奏付ソロ楽譜
ISR(ヴァイオリン) メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調 (ISR VIOLIN)
同じ曲ですが、校訂者に違いがあります。
上から順にフランチェスカッティ、カール・フレッシュ、大谷康子。
(このほかにも、いろいろな出版社から多種多様な校訂で出ています!ペータースは I. Oistrach校訂版とカール・フレッシュ版と両方あるのでご注意を。)
これらの楽譜では、校訂者がその部分をどのように捉えているかによって生まれる違いが、文字通り 手に取るように わかります。
単純に言うと、校訂者の頭の中を覗いているも同然です。
指使いとボウイングは、
指使いとボウイングを見れば、その人がその曲をどう捉えているかが全部わかるとも言われるほど、人によって全然違います。
逆に、指使いとボウイングには無限の可能性が有り得るとも言えます。
指使いとボウイングを特に決めずに練習を進める方を、時々お見受けします。
が。
ほぼ100%どこかの段階でツマづいておられます。
毎回の練習が、積み上げになっていかないからです。
残念ながら、時間をムダにする行動でしかありません・・・・・・・・・・。
譜読みの段階で指使いとボウイングを読んでおかないと、あとでエライ目に遭いますよ。
ね、想像に難くないでしょう?
ボウイングと呼吸の関係
え?ヴァイオリンで呼吸?と思われた方もいるかもしれません。
息止めても音出せる楽器ですからね(笑)
具体的に言い始めるとキリが無いので、1つだけ例を挙げておきます。
いつ読むか?
今でしょ
指使いとボウイングはいつ読めば良いかというと・・・
リズムと音と同時に読みましょう。
指使いは音の並び方と、ボウイングはリズムと大いに関係があります。
まずは印刷通りにやってみよう
無限の可能性がある指使いとボウイングですが、最初から自分のオリジナルを考えるには無理があります!
まずは先人の知恵を拝借・・・というわけで、印刷通りにやってみましょう。
印刷された指使いやボウイングには、必ず意味があります。
校訂者が、 何らかの意図を持って書いたもの だからです。
- E線で弾ける音だが、金属っぽい音にはしたくないのでA線を指定している
- 指定の指使いで弾けば、音程が決まりやすいから
- 初心者向けの教本なので、第1ポジションを使うように指定する
ボウイングは・・・やはりこちらも、具体的に挙げ始めるとキリがないんです(汗)
でも、1つだけ。
どうにも弾きにくい時は?
印刷された指使いとボウイングには、校訂者の考えが出ています。
手の大きい人が考えることと、手の小さい人が考えることには、ずいぶん違いがあります。
当然、万人に合うとは限りません。
そこで、弾きにくい時の解決策を2つ。
- 先生や仲間に聞く
- 印刷されているものを基に、自分で工夫する
あなたの身近にも先人はいます。先生や仲間からも、知恵を借りましょう。
きっと、あなたの悩みどころを解決してくれるはずです。
最終的には、自分に合うものが一番。
体の状態は一人一人違います。
あなた自身を一番よく知っているのは、あなた自身です。
自分でも考えましょう。
人の指使いとボウイングに関心を持とう
YouTubeなどで、演奏の動画を簡単に見れる世の中になりました。
(昔の人は、レコードを擦り切れるまで聴いて、指使いやボウイングすらも聴き取ったとか・・・!!!!!)
せっかくですから、文明の発達の恩恵を受けましょう!
スロー再生したり、10秒ぐらい戻して繰り返し再生したり・・・
気の済むまで食い入るように見て、指使いやボウイングをマネしてみましょう。
VHSなら文字通りテープが擦り切れたでしょうが、YouTubeやDVDならそんな心配も不要!
何となく見ていた動画が、あなたのお宝に大変身。
ここまで来て初めて、一通りの譜読みが済んだと言えます。
譜読みはとても奥が深いのです。
でも、その先には、より楽しい世界が待っていますよ!
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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