【ヴァイオリン練習】重音の「良い響き」を出すには?
ヴァイオリンの魅力のひとつ、重音。
シベリウスやブラームスの協奏曲みたいなカッコいい曲にも使われているし、
バッハの無伴奏曲(=美しいを通り越した何かの真骨頂)には絶対欠かせない要素です!

ザイツの協奏曲にも出てきますね♪
重音とは、2本の弦を同時に鳴らす奏法のことを指します。
でも、バイオリンを弾く上で、
重音に対してこのように感じる方、多いんじゃないでしょうか?

ちょっとハードル高い…
でも、重音の練習は
バイオリンの響きの質を、グンと高めるチャンスなんです。
今回は、重音練習のポイントと、その奥にある響きの秘密についてお話しします。
「良い響き」を耳で覚えよう!
重音の練習で一番大事なのは、
良い響きを耳で覚えること。
2本の弦がぴったり合った時の、あの心地いい響き。
まずはその響きを自分の耳でしっかりキャッチできるように、
自分の耳を育てましょう。

チューナー(目)に頼らないでね〜。
心に余裕を持って練習しよう
重音は、ただ2つの音を同時に鳴らすだけじゃなく、
響きを聴く力と、
心の余裕が求められます。
音を出した瞬間に、冷静に

今の音は、ちゃんと響いてるかな?
美しいかな?
と、判断できるだけの自分の耳を育てるには、
けっこうな神経と集中力が要るんです。

正直、疲れます。笑
でも、重音をマスターする上で、判断できる耳は欠かせませんので
心に余裕を持って、練習にのぞみましょう。
緊張した状態では、耳も硬直し、良い響きを聴き分ける余裕がなくなります。

リラックスして、楽器と対話するつもりで響きを探りましょう!
響きを良くするのに必要な、3つの力
重音を綺麗に響かせるには、3つの技術が必要です。
- 右手のコントロール。2本の弦をバランスよく弾けるよう、弓をコントロールする。
- 左手の正確さ。2本の指が正しい場所を押さえられているかどうか。
- 耳で聴く力。出した音が美しく共鳴しているかを判断する能力。出した音のズレや響きの違和感に気づけるかどうか。
これら3つが揃ったときに、はじめて、
本当に美しい重音の響きが生まれます。
「2音をバラして練習するとよい」という記述もありますが、それだけでは足りません。
重音の本質に迫れず、これら3つの要素をカバーしきれないからです。
あくまでも「良い響き」に意識を向けて練習しましょう!
良い響きを確かめる5つの方法
良い響きかどうか確かめるには、次の5つの方法があります。
1. 開放弦との共鳴を確認する
開放弦が共鳴すると、楽器全体が響きます。

D線上に「G(1stポジションの3)」 を押さえ、開放弦のG線が共鳴しているかを確認してみてください。
正確にとれている時とそうでない時では、響きが全く違うので、わかりやすいと思います!

他の弦でも、1stポジションの3の音と左の弦の組み合わせで、確認することができます。
2. 分散和音で響きをチェック
重音を弾く前に、各音を単音で(ばらして)弾いて、おおよその 高さ(ピッチ)を確認 しましょう。

あくまでも「おおよそ」だよ~。
- まず 下の音 を単音で弾く
- 次に 上の音 を単音で弾く
- 最後に 2つの音を合わせて弾く
この順番で練習すると、大きくピッチがずれることなく、響きを意識できます。
ただし。
1音ずつ弾いて良い響きになるピッチと、
2つの音を合わせた時に良い響きになるピッチは、
微妙に違います。
なので、
本当に綺麗な響きかどうかを聴きながら
練習してくださいね。
3. 和音のイメージを持つ
和音全体の響きをイメージしましょう。
- 鍵盤楽器で 同じ音の和音を弾き、響きを確認 する(アプリでも可)
- 和音の音を1つずつ、下から上に向かって歌ってみる
などがおすすめの方法です!
その響きを、頭の中でイメージしながらバイオリンで弾くと、より美しい重音を作ることができます。

聴いた音と自分が出した音が、同じかどうか自信が無い人は、第三者に聴いてもらいましょう。
そういう意味でも、レッスンを受けるのが手っ取り早いです。
4. 音のバランスを調整する
重音を弾くときにあなどれないポイントが、下の音と上の音のバランス を意識することです。

意外にも「下:上」の比率は、「5:5」とは限りません。
響きが安定する、ちょうど良いバランスを探してみてくださいね。
5. ゆっくりしたテンポで練習する
重音は、 ゆっくりしたテンポ で、気持ちを落ち着かせて練習することが大切です。

響きを確認しながら、次のように進めましょう。
- 音の変化を耳でしっかり聴く
- 徐々にテンポを上げていき、前後のつながりも意識する
ゆったりしたテンポの中で響きを意識し、気持ちを落ち着かせて練習することで、きれいな重音を聴き分ける耳が育ちます。

重音に関する練習法は、こちらの記事でも紹介しています。よろしければご覧くださいね。
響きが変わると、楽器そのものが変わったように感じる!
面白いことに、重音がしっかり響くようになると、
バイオリンの鳴り方そのものが変わります。

高級な楽器じゃなくても、初心者の方でも、
響きの違いをはっきり実感できるはず!
正しく重音を響かせること=楽器が持つポテンシャルを最大限に引き出すこと。

「こんなに自分の楽器って鳴るんだ!」っていう感動を、ぜひ味わってほしいです。
耳で「良い響き」を覚え、ヴァイオリンの響きの質を高めよう!
重音を弾くのは難しいですが、取り組む価値は大いにあります。
重音の美しい響きを出せるようになることが、バイオリンの上達において大きな成長の一歩につながるのです!
音程や弓のコントロールも大事ですが、まずは耳で「良い響き」を覚えることから始めましょう。
焦らず、少しずつ慣れていけば大丈夫。
重音の響きを意識して、楽器のポテンシャルを引き出せる響きを目指してがんばりましょう!
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ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。都立芸術高校・東京藝大をヴァイオリンで卒業後、東京藝大院修士ソルフェージュ専攻を修了。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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