「譜読み」でやっていること~音符に隠された情報編
前記事「譜読み」でやっていること~曲の基本情報編では、作曲者や曲名、編成などのごくごく基本的な情報の重要性について書きました。
さあ、やっと曲の本体に突入しますよ~レッツゴー!
リズム
「え、音より先にリズム?」と思われたかもしれません。
でも、リズムが先にわかっていると、音を読んでからリズムを読むよりも、 指使いを考えるのがラク になるんです。
(弦楽器の場合は、書かれているボウイングについて考える時も、ラクになりますよ!)
リズムは、拍の上に成り立っています。
なので、リズムを読む時には必ず、拍を数え続けましょう!
※歌う音の高さは、特に気にしない
※絶対に止まらない
※わからなくなったら、単位音符を1段階細かくして考える
効果があがるリズム練習8つ。にいろいろなやり方を書いていますが、譜読みの段階でまずやって頂きたいのは、 拍を打って(振って)リズムを歌うこと です。
休符も忘れずに数えてくださいね!
音
さて。
楽譜から音の高さを読んで、実際に楽器で音を出すまでには、どんな経過を辿っているでしょうか?
少し考えてみましょう。
おそらく
音の名前と高さを読む
↓
ピアノなら、鍵盤の場所を探す
弦楽器なら、指板上の場所を探す
↓
音を鳴らす
みたいな感じかと思います。
音を読む時は、文章を読むような感じで、いくつかの音をまとめて読むようにしましょう。
(大半の方は、文章を読むとき、1文字ずつ読んでいないと思います。)
↓のような感じで。
○ →「明日の」「天気は」「晴れです」
× →「あ」「す」「の」「て」「ん」「き」「は」「は」「れ」「で」「す」
和声(ハーモニー)、コード、カデンツ
リズムと音は、 和声(ハーモニー) の上に成り立っています。
和声を言葉で表すやり方は、たくさんあります。
小学校などで、お辞儀する時に鳴る和音のことを思い出してみましょう。
以下3つの言葉はすべて、ちょうど頭を下げているときに鳴る和音のことを表しています。
- ゲーハーデーエフ
- ハ長調の属七の和音
- G7
言い方は全然違いますが、全く同じ響きのことを表しています。印象が全然違いますね~。
G7は先進7か国ではなくコードネームで、「ジーセブン」と読みます。ギターなどではお馴染みですね。
和音そのものの呼び方は気にする必要ありません。
大事なのは、その和音が持つキャラクターや、醸し出している空気です。
平和なのか、ちょっと胸騒ぎがするのか、事件が起きたのか・・・
その場所にはどんな顔が似合いそうか、考えると楽しいですよ。
楽語
「音楽用語」略して「ガクゴ」です。落語じゃありません、残念ながら(-_-;)
大ざっぱに、次の4種類に分けられます。
- 速さを表す言葉
- 音量を表す言葉
- その場所の表情や雰囲気を表す言葉
- 弾き方に関係する言葉
楽語にはイタリア語が多く使われます。
よく聞かれるAllegro、Presto、dolceもイタリア語なんですね~。
「ドルチェ」はイタリア語で、お菓子のことです。
音楽用語の「ドルチェ」も、「甘い」とか「柔らかい」といった意味で使われますね。
音楽用語には、イタリア語以外の言葉も使います。
シューマン、ワーグナー、マーラーの楽譜には、ドイツ語で様々な指示が書かれています。
ラヴェル、ドビュッシーの楽譜にはフランス語が。
ドビュッシーの指示がドイツ語で印刷されてたら、あの雰囲気は出せないでしょうし、
ワーグナーの指示がフランス語で書いてあった日には、完全に別人の音楽になっちゃいそうで、なんかイヤです(笑)
曲の構造や全体像
曲を聴いていると、「あれ、このメロディさっきも出て来たような・・・」みたいなこと、ありますよね?
気のせいじゃなく、本当に同じ素材を使って書かれてることが多いんです。
たとえば・・・
「ソナタ形式」という言葉、聞いたことありますか?(冬の、じゃないよ)
ピアノソナタやヴァイオリンソナタだけでなく、交響曲や協奏曲でも使われる形式です。
ものすご~く大雑把に言うと
ふつーの食パンと胚芽食パンで作った具だくさんのサンドイッチみたいな感じ。
曲の始めと終わりがパンに相当します。
(パンの種類が違うのは、始めの方と終わりの方では、一緒の素材を使っていても、調が違ったり微妙に音型が変わったりするからです♪)
具は、曲の真ん中に相当します。
(盛り上がったりテンション下がったり、既に出てきた素材が全然違う味付けで登場したり・・・だから具が1種類じゃ足りない・・・)
こんなふうに、何気なく聴いている曲にも、仕組みがあるんです。
↓
要するに時短テク。
練習時間が限られているのはみんな同じ。
ならば、アタマを使って練習しましょう!
譜読みはまだまだ続く
時折り、譜読み=音読み、みたいになってる方を、お見受けします。
でも、この段階に到達するまでに見てきたポイント(前記事の内容も含めて)、いくつありましたか?
- 曲名・作曲者
- 楽器編成
- 音部記号の種類
- 調号・調性
- 拍子
- リズム
- 音
- 和声(ハーモニー)
- 楽語
- 曲の構造や全体像
あら、10個もある・・・書いてる本人がビックリ
音以外にもこんなに読むべきポイントがあったんですね~汗
でも「譜読み」でやっていることシリーズの記事は、まだまだ続きます!
なぜかって?
まだ、指使い(フィンガリング)と弓使い(ボウイング)に触れてないから!
続きは別記事にて。お楽しみに!
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
各種レッスン受付中!詳細は下記をクリック!