速い曲を練習する時に、テンポはどうする?譜読み段階のヴァイオリン編
今回は、譜読みの段階での練習について、考えてみましょう。
速い曲を練習する時に、どんなテンポで練習していますか?
弾けるところはインテンポ、むずかしいところはゆっくり練習するよ!
あ、それ一番やっちゃダメなやつ。
とにかくひたすらゆっくり、ですかねぇ。
間違ってはいないけど、ゆっくりでしか弾かないのも考え物ですね。
さて、練習する時は、どんなテンポが良いのでしょうか。
譜読み段階での練習テンポ。ゆっくりorインテンポ?どっち?
※この記事では、ヴァイオリンを例に扱います。
他の楽器の方は、もろもろ置き換えてお考えください。
練習のテンポって、そんなに大ごとなの?
速く弾く時とゆっくりの時では勝手が全然違うし、速く弾いて初めてわかることと、ゆっくり弾いて初めてわかることがあるんですよ。
ヴァイオリンでは、左右の手はそれぞれ違う作業をしています。
ゆっくり練習した場合と速く練習した場合とで、両手それぞれにメリットとデメリットが出てきます。
ゆっくり練習する時は、音程とリズムに注目しよう
ゆっくり練習するメリットは2つあります。
左手がラクになることと、細かいリズムを確認しやすくなることです。
左手がラクになる
ゆっくり練習すると、左手はラクになります。
指を素早く動かす必要がないからです。
じっくりと音程を確認することができます。
ゆっくり過ぎると逆にわからなくなるのが難点。
リズムを細部まで確認しやすくなる
ゆっくり練習すると、リズムを確認しやすくなります。
拍子を細かくカウントするための、余裕が生まれるからです。
4分音符1コを、4ツに分けてカウントするとかね。
弓のコントロールを細部まで確認できる
いっぽう、弓のコントロールは難しくなります。
弓をゆっくり動かす必要に迫られるからです。
そのぶん、動き方や量を細かく確認できるメリットが生まれます!
ベートーヴェンにありがちなこーゆー地味にムズいやつとか、余計ムズくなるかな。
音と音のすき間時間を長くとらなきゃいけなくなるから。
でも超絶勉強になる。
エチュードと割り切るのも手だよ。
そんなこんなで、ゆっくり練習するとなっても、ハードルが低くなるわけではありません。新しい課題が見つかると思います。
スロー再生するイメージで取り組むことをおススメします。
それなら頑張ってみようかな!
インテンポで練習する時は、右手の動きに注目しよう
速くなんか弾けないよう!
まあまあまあ。やる前からそんなこと言わない方がいいよ。
右手のスピード感をつかめる
インテンポで練習すると、右手のスピード感覚を掴むことができます。
たしかに、インテンポで弾こうとすると、左手は指が回らないかもしれません。
でも、右手のスピード感をつかむ上では、練習テンポをインテンポ>>>>>>ゆっくりに設定する必要があります。
マラソンの練習と称してひたすら歩くだけの人は、おそらくいないでしょう。
実際に演奏するテンポでないと、練習にならない側面があるのは事実です。
ついでに言っておくと、速く弾く上で都合が良い指使いが存在します。
指使いを決める上でも、弾けなくてもインテンポで弾いてみるのは、方法の一つです。
結局、練習テンポはゆっくりな方が良い?インテンポが良い?
ゆっくりテンポで練習することと、インテンポで練習することそれぞれについて、考えてきました。
両方にメリットとデメリットがあります。
ゆっくり→左手はラクかもしれないが、右手が大変
インテンポ→左手は大変だが、右手は実際の動きを掴むことができる
え、じゃあ、どちらが良いとか悪いとかそういう話じゃなく・・・?
そう、どっちも必要です!!!
というわけで、速い曲は「ゆっくりテンポとインテンポの両方で」練習してみましょう。
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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