なぜヴァイオリンの先生がソルフェージュ?
「ピアノの先生」が100人いたら、おそらく100人とも「ピアノを弾く人」ですよね。
「ヴァイオリンの先生」もトランペットの先生も、100人いたら100人とも「ヴァイオリンを弾く人」「トランペットを吹く人」ですよね。たぶん。
じゃあ、「ソルフェージュの先生」ってどんな人???
ちょっと答えに困りませんか?
そんな疑問に迫ってみようと思います。
音楽家ならソルフェージュは教えられるはず
お子さんや、まったくの初心者の方が楽器を習う場合は、
楽器の弾き方以外に
楽譜の読み方やルールも教えてくださる先生が多いと思います。
ここに、簡単な歌やリズムの練習が含まれることもあるでしょう。
でも、音大受験に向けたソルフェージュを教える先生のほとんどは、作曲家やピアノの先生です。
とても不思議🤔
私が通っていた東京藝大の音楽学部は、1学年が約240人。そのうち、
作曲科15人。
ピアノ科約25人。
弦楽器が約40人。
声楽が50人強。
(管楽器は正確な数字がわからないので割愛・・・23人いる楽理科はこれまた専門の領域が多種多様すぎるので割愛・・・関係者のみなさま、すまぬ。)
ぬぬぬぬぬぬぬぬぬ…………
作曲科とピアノ科足しても、声楽とか弦楽器の全体数より少ない件。
こちらの記事でも書いてますが、ソルフェージュは、音楽そのものと向き合う時間。
どんな楽器の先生が教えても不思議じゃないですよね。
ヴァイオリン弾きだからこそ、できること
私は、大学まではヴァイオリンを専攻していました。
今もオーケストラや室内楽でヴァイオリンを弾きます。
その経験から得たことを、ソルフェージュのレッスンに還元しています。
たとえば
- 全音と半音の差を伝えたい時に、ヴァイオリンを使って音程を実感してもらう
- 四声体の和声聴音で、弦楽四重奏の経験則から話をする
こんな風に、実体験からいろんな伝え方を発想できているのは、私の強みだと思っています。
ヴァイオリンを使って全音と半音を体験してもらうと、ヴァイオリン未経験の生徒さんは
必ずと言っていいほど
目を輝かせて何かを吸収しています。
彼らの世界が広がる瞬間です。
必ずしもピアノを使う必要はない
音大入試の聴音は、ピアノで行われるケースがほとんどですが、
本当は、ピアノ以外の楽器も使われて良いはずです。
(指揮科の入試だと、木管四重奏とかで出題されることも)
実際の曲は、ピアノが使われるとも限らないしね。
入試ソルフェージュあるある
いろんな音大の入試問題を調べてみましたが、
よくあるのは、
細かい音符をたくさん使ったリズム。
一方で、少ないのは
全音符とか2分音符みたいな、中が白い音符。
ピアノで弾くと、伸びてるのか休符なのか、判別しづらいからね。
そう、ピアノだと、伸ばしや休みを数える練習ができないんです。
ソロばかり勉強してきた人が合奏に入って、起き得るであろう現象2つ。
- のばし音符が数えられない
- 3小節ぐらいのわりと短い休みが数えられない
覚えのある方もいるんじゃないでしょうか。
昔の自分がそうでした。
作曲とピアノ以外の先生が、ソルフェージュを教えることに対して、二の足を踏む理由
作曲とピアノ以外の先生が、ソルフェージュを教えることに対して、二の足を踏む理由は、ただ一つ。
ピアノの腕前が人によりけり…。
音大では「副科ピアノ」というレッスンがあり、ピアノ以外の楽器を専攻している人も全員、ピアノを習います。
もちろん、入試や期末試験の課題は、本職のピアノ科の方々よりも全然易しい曲です。
「入試のために高3になって慌ててピアノ始めて、入試の曲だけを必死に練習しました!」な人もいれば、
ピアノ科顔負けに上手くて、何でも弾けちゃう人もいます。
自分はどうだったか。ヴァイオリン講師のピアノ事情
私はピアノとヴァイオリンをほぼ同時期に始めました。
中学生ではピアノのレッスンに通っていませんでしたが、合唱コンクールの伴奏はやっていました。
高校は音楽高校だったので、3年間副科ピアノが必修。
大学では、必修は2年だけでしたが、選択科目で4年生まで副科ピアノを履修しました。
大学院ソルフェージュ科の入試では、ヴァイオリンだけでなくピアノも演奏しました。
大学院の授業では、ひたすら初見でピアノを弾きました!
連弾、2台ピアノ、スコアリーディング・・・まさに武者修行😂音符が少ない曲になると俄然元気になる始末。笑
とまあ、こんな感じで弾き続けてたのもあって、
複旋律の聴音課題や、伴奏つき視唱の伴奏も、
練習すれば弾けます。
ヴァイオリン教則本に載ってるレベルの曲は、伴奏しながらレッスンしています。
とは言えやっぱり「………お手上げです。」な時もあって…。そういう時は、原曲を損なわない程度に簡単にアレンジします。
そもそも、なぜ二の足を踏むのか?
ソルフェージュを教える先生のピアノの腕前が問題になってしまう理由は、ただ一つ。
入試の聴音でピアノを使うことが前提になっているから。
そもそも、ソルフェージュって聴音だけじゃないのに。不思議です。
ソルフェージュの先生は必ずしも、作曲家やピアノの先生である必要はありません。
肌感覚でオーケストラの現場を知っているソルフェージュの先生って、そんなに多くないと思います。
体感から伝えられること、たくさんあります。
…もっと根本的なところまで辿れば「楽器を教える先生とソルフェージュを教える先生が別の人」なのが、そもそもの発端なのだとは思いますが、それは追々・・・。
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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