なぜ「落ちる」?オーケストラで落ちる理由と解決策
ニュートンのリンゴの話ではなく、オーケストラ用語の「落ちる」のほうです。
休符を数えているうちに、今どこをやっているのかわからなくなること を言います。
落ちる原因と解決策を探ってみましょう。
オーケストラで「落ちる」理由5つ!
ワケもなく落ちることはありません。必ず、理由があります。
意識が上の空
休符を見た瞬間に意識がお休みモードに入って、ついつい、違うこと考えてませんか?
「さっき何でうまく弾けなかったのかな・・・」
「今日の晩御飯、何にしようかな」
「今度の休み、どこ行こうかな」
頭が休憩モード
「音が無い」だけであって、休憩していいわけじゃないんですよね…
言葉のあや。
テンパった結果・・・
主に本番で起きます。
「非日常」の状況って、練習の時にやらかしたことがない現象が起きますよね。
- 1段上、あるいは1段下と見間違える
- リピート前なのかリピート後なのかわからなくなる
- 2ページ一気にめくってしまう
などなど・・・。
「冷静に。沈着冷静に。」と思ってても、これは防ぎきれない。
曲の構造を理解していない
自分が休符の間も、他のパートには音があるケースがほとんどです。
「ただ8小節数える」のと「オーボエがメロディをやってる8小節」と考えるのでは、気持ちがずいぶん変わるのではないでしょうか。
頼りにしていた人が落ちる
たとえば「ティンパニが入ったら入る」と覚えていたとします。
すると、万が一ティンパニが落ちてしまった場合、連鎖反応で自分も落ちることになります。
特に、フーガの部分でこの現象が起きると、じつに悲惨な結果が・・・。
番外編
協奏曲だと、ソリストに聴き惚れて落ちることも。
※ソリストが素晴らしい証拠!♥笑
オーケストラピット(オケピ)で弾く時だと、うっかり舞台に見とれて「あ、入りそびれた・・・」なんてことも。
※ただし、舞台が見えない位置に座るパートでは起こり得ない現象。
対処療法ではなく、根本から解決しよう
「落ちたらゴマかす」的な考え方も、わかります。
でも、そもそも、落ちないような対策が必要ですよね。
「風邪ひいたら薬飲む」じゃなく「そもそもを健康的な生活になるよう努力する」的な発想、いかがでしょう。
曲の仕組みを知ろう
あなたが見ているパート譜には、基本的には、自分のパートの情報しか書かれていません。
パートというぐらいですから、あくまでも音楽の一部分でしかないのです。
曲全体を知って、その中での フレーズ始まりの小節で意識を切り替える を知りましょう。
これをやるだけでも、落ちにくくなります。
落ちないために必要な情報は、次の2つです。
- その辺りは、何小節フレーズで構成されているのか
- 自分はフレーズの最初から入るのか、途中から入るのか
フレーズの多くは、4小節や8小節など、4の倍数の単位の小節で構成されています。
例外もありますが、4の倍数に近い数字であることが多いです。
3とか5とか6とか7とか・・・(あれ、可能性無限だぞ∞)
フレーズ始まりを見分けるのが簡単なポイントは、次の3つ。
- わかりやすいメロディがある所
- 明らかに空気が変わる所
- 楽器が増える所
時々、前のフレーズ終わりと新しいフレーズ始まりが重なるケースもあります。
でも、 終わりと始まりが重なることが判ればOK 。
数える時に気を付ければいいんです。
自分がフレーズ途中から入る時は、 フレーズ始まりの小節で意識を切り替える と良いですね。
切り換えポイントが長い休符に埋もれている場合、私は楽譜に次のような書き込みをしています。
「5小節休みのうち1小節は前のフレーズ、後ろの4小節は新しいフレーズで、ヴィオラがメインで弾いている」という意味です。
最初の1小節を数え忘れても、ヴィオラがメインの4小節を数えれば良いので、少し気がラクになります♪
ガイド音符はあてにならない時もある
休符明けの手前に、ガイドとして他パートの音が書いてある場合もあります。
知ってるメロディが書いてあって「あ~もうすぐだ!」って思って入ると、同じフレーズの2回目に突入→結果「まだだった」・・・なんてことも。
また、たま~に「あーここってこの楽器もやってるんだー。全然聴こえないけど(汗)」としか思えない音が書いてあるケースもあります。
(会場や座る位置によっても聴こえ方は変わります。私は、ゲネプロが終わってからガイドを書き直したこともあります。)
レッツ、スコア読み。
周りを聴きながら弾こう
周りを聴かずに弾くと、ほぼ100%ズレます。そして、落ちます。
なぜなら、知らず知らずのうちに周りと違うテンポで弾いているから。
常にアンテナを張って、周りの音を聴く努力をしましょう。
多少失敗しても、気にせず先へ行きましょう。
周りに上手~く溶けこんで、それっぽく弾くだけでも、十分な練習効果が得られますよ。
テンポの中で弾けるようにしておこう
みんなで足並み揃えて演奏する、オーケストラ。
当然、個人練習も、一定のテンポでやる必要があります。
知らず知らずのうちに「弾けるところは速く、難しいところはゆっくり」な、 自分のオリジナルテンポ になっていませんか?
ここで効果を発揮するのは、メトロノームを使った練習です。
相手は機械ですから、じつにシビアな結果が返ってきます(笑)
もちろん、実際の演奏には自然な揺れがありますが、テンポを揺らすのは正確なテンポで弾けてからの話。
まずは一定のテンポにのって、弾けるようにしましょう。
落ちてどうしようもなくなった時の誤魔化し方(弦楽器限定)
オーケストラにおいて管楽器は言わばソロなわけですが、弦楽器は大勢いますので、落ちてもゴマかせます!(苦笑)
- 弾いているふりをしながら、今どこなのか、必死のパッチで探す。
- 無理して弾かない。練習番号の辺りに来れば、そのうちわかる。
- どうしようもなければ隣に聞く。
落ちないで、楽しく演奏しましょう!
オケでよく落ちてしまうあなたへ。効果的な練習法を伝授します。レッスンお問い合わせ、お気軽にどうぞ! お問い合わせはこちらから |
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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