協奏曲やオペラのオケパートを個人練習する方法
オーケストラをやっていると、交響曲だけでなく、協奏曲(コンチェルト)やオペラのオケパートを弾く機会もありますよね。
「オペラ全曲をオケピットで」となると、機会はなかなか少ないかもしれませんが、「有名なアリアを数曲」みたいな感じでの演奏機会なら、ゼロではないでしょう。
演奏した経験がある方はわかると思いますが、協奏曲やオペラのオケパートを弾く時って、交響曲(シンフォニー)を弾く時とは勝手が少々違うんです。
いうなれば、コンチェルトやオペラのオケパートを、交響曲と同じ感じで練習すると、合わせた時に「エライこっちゃ!」になるんです・・・というわけで、練習のコツをご紹介します。
※本記事は、協奏曲を例に進めていきます。オペラのオケパート練習法を知りたい方は、文中の「協奏曲(コンチェルト)」を適宜「オペラ」に読み替えてください。
スコアや音源から、練習方法を考えよう
まずは、演奏する曲の音源とスコアを入手しましょう。楽譜屋さん、CDショップ、Amazon、(著作権の範囲内で)IMSLPやYouTubeをフル活用。
入手できたら、スコアと音源を頼りに、曲のなかを、次の2種類に分類します。
大まかに でOK。
- オケだけでやる曲と同じように弾いて良い所
- ソリストのパッションを感じて弾く所
いわゆる「前奏」「間奏」「後奏」にあたる部分は、1.の「オケだけでやる曲と同じように弾いて良い所」に分類できます。
練習方法も、ふだんのオケ曲と同じ感じでOK。
2.の「ソリストのパッションを感じて弾く所」は、この先で詳しくみていきます。
ソリスト次第で弾き方が変わる所の攻略テク4つ
多少語弊のある言い方かもしれませんが、あえて「攻略」にしました。
なぜなら、単に音符をなぞるだけでは済まないからです。
4つご紹介します。
ソリストの気持ちになる
想像や妄想をするのは個人の自由です(笑)
弾けない楽器だったとしても、ソリストの気持ちを考えるのは、必要なプロセス。
日常の生活でも、相手の気持ちを考えたり、思いやったりしますよね。
順を追って、見ていきましょう。
2. ソリストになった気持ちで、どんな感じに弾きたいかを想像する。
3. 「2.を踏まえて、オケがどんな感じで弾いてくれたら嬉しいか」を考える
えぇ、弾いてないですよ。
音を出す前にやることですから。
何なら、楽器が弾けない場所でも可能な練習だと言えます♪
経験上、このプロセスを通っておくと、実際にソリストと合わせる時に、とってもやりやすいです!!!
楽譜を見ないでも、ある程度弾けるようにしておく
交響曲などとは違い、ソリストの自由度がかなり高い協奏曲。
当然、一定のテンポや拍子で進むとは限りません。
テンポを伸ばしたり縮めたり・・・人間ですから、突発的なミスもゼロじゃない。
そんな時でもオケがパッと対応できたら、まあステキ。
何か起きた時は、ソリストのパッションを感じたり、弓を見たりします。
どうにもならなくなったら、コンマスや指揮者を見ます。
よって、楽譜を見るヒマはないのです。
フェルマータ攻略!
イタリア語で「バス停」の意味を持つ、フェルマータ。
バスが止まって再び走り出すような感じで、フェルマータがある所では、音楽はいったん止まりますが、また動き出します。
さて、止まっている間には何が起きているんでしょうか?
協奏曲やオペラでは、次の2つが考えられます。
2. 誰も音を出していない
これらは、スコアを見れば一目瞭然。
フェルマータで何が起きているのか、知りましょう。
間違っても、意識を休ませることが無いように。
聴き比べをしよう!
各家庭によって「おふくろの味」が違うように、同じ曲でも、誰が弾くかによって、ぜんぜん印象が違います。
協奏曲も、ソリストの解釈や弾き方次第で、全く違う曲に聴こえたりします。
答えはカンタン。いろんな味演奏を知ること。
複数の音源を聴き比べると、耳も慣れますし、ソリストが自由にやる確率が高い場所も分かります。
自分のパート以外に目を向ける良いきっかけ
協奏曲やオペラのように、ソリストの自由度が高い曲に取り組むと、自分のパート以外にも目を向ける必要に迫られます。
それは、オケ全体に目を向けるきっかけにも成り得るのです。
壮大な共同作業であるオーケストラにおいては当たり前のことなのですが、どうしても、自分が弾くパートだけで手一杯になっちゃったりするんですよね。
でも、オーケストラの本当の醍醐味って、そこじゃないと思う。
相手を知ってこそ、感じられるものがあります。
とりあえず、自分のパートをさらうだけで満足しないように。
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ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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