オーケストラの席順と役割
ここはオーケストラのコンサート会場。
舞台にずらっと並ぶ椅子。譜面台。
客席の灯りが消えた。コンサートの始まりだ。
舞台にプレイヤーがゾロゾロ現れた。
淡々と椅子に吸い込まれていく彼ら。
決して、早い者勝ちではなさそうだ。
あれは、どうやって決めているのだろう。
…という書き出しの小説は無いと思いますが(汗)
オーケストラの弦楽器の席順って、わりと悩ましいヤツなのです。
ここでは、アマオケの弦楽器を念頭に置いて書くことにします。
座る場所によって役割が違う!
あなたの周りにいる人を思い出してみましょう。どんな人がいますか?
課長は付き合いやすいけど部長はとっつき難くて…
でも社長はついていきたくなる人なんですよねぇ。
取引先の○○さんは、えーと…
独断と偏見で一例を挙げてみますと
- リーダー向きの人
- 発想力が豊かな人
- 人付き合いが上手な人
- 指示されたことをきっちりこなせる人
- 陰日向に咲く一輪の花のような人
- 顔が広い人
- 誰にもマネできないワザを持っている人
- 職人肌の人
- ゆずれないこだわりがある人
などなど・・・
人種のるつぼ、ですねぇ。
いろんな人がいますよね。
お友達もいろんな人がいるよ!
「これ、○○さんに頼もうかな」って考えるときを思い出してください。
頼みたいことと各々の得意不得意など(時には役職も)考えませんか?
言われてみればそうですね。
オーケストラで座る場所でも、決して無縁ではありません。
その場所に求められる役割、その人の適性や性格など・・・
独断と偏見で、座る場所それぞれについて、書いてみます。
前のプルト
1プルト目
1プルト目は、指揮者や他パートとコンタクトを取ることが求められます。
それゆえに、周りを聴く余裕はもちろん、交渉力やとっさの判断力も必要。
臨機応変に対応できる人が向いてる?
2~3プルト目
2~3プルト目は、1プルトがボウイング変更を書き込んだら、即座に自発的な伝言ゲームを始めなければなりません。
後ろの人たちへ伝えるメッセンジャーだね。
アフリカ人もビックリな視力の持ち主は1プルトの楽譜がよく見えるので、きっと重宝される。
(…居るのか?)
1.0あれば、たぶん余裕で大丈夫。安心して 笑
後ろのプルトの秘密
ホールによっては、前のプルトと相当な時差ができます。
時には、こんな不安を抱えながら弾いています。
…んー、今のタイミングで良かったのかな?遅れて聞こえてないかな?
ちなみに、前のプルトの人はこんな風に思ってたりも。
後ろから音が聞こえてこないと、不安になるにゃ…。
したがって、日和りすぎて小さい音になるのもよろしくないのです。
そう、後ろのプルトは
微妙なさじ加減のことをやっている、縁の下の力持ち!
すごいことやってるんだね!
でも悲しいかな、見てる人は、そんなこと夢にも思わないのにゃ。
残念ながら。
後ろのプルトで弾くのは、意外と難しいです!!!
「上手な人が前、そうじゃない人が後ろ」という決め方もありますが、個人的には賛成しかねます。
※学年順や年功序列で決めると平和なのはわかりますが、必ずしも良い方法とは限らないと思う。
外側(out、表)
2人並んで座るうちの、客席側の席のこと。
divisiになると、高確率で高音を担当します。
divisi(ディヴィジ)=パート内でさらにパートが分かれていること
第1ヴァイオリンの外側(表)だったら…
- 勢いあまって弓を隣の奏者にぶつける心配はほぼない。
- 演奏会に来てくれる親戚縁者に「自分ここで弾いてるからね!」と教えておけば「ウォー○ーをさがせ!」よりも簡単に見つけてもらえる。
- どこかしらのもう1パートでもこの技は使えるが、どこのパートになるかは楽器配置によって変わる。
対向配置なら第2ヴァイオリン。
通常配置なら、チェロかヴィオラだね。
内側(in、裏)
2人並んで座るうちの、内側の席のこと。
楽譜をめくるのもこちら側の人。
「いったん弾くのを中断して楽譜をめくる」時も多いにゃ。
慣れるまでちょっと大変かも。
内側の席は職人技!
divisiになると、裏のパートにハモリや対旋律が割り当てられていることもしばしば。
いわば、職人芸のような側面を持つ席と言えるでしょう。
時折り「目立ちたくない」という理由で内側(裏)に座りたがる方がいらっしゃるんだよね。
でも、そうは問屋が卸さないよ。
ご注意を。
アマオケ、席順はいつ決める?
divisiが多い曲は、早い時期に決めざるを得ません。
そりゃそうですよね。
決まらないと練習できないし。
練習の負担を減らそうと思ったら、どこを弾くか既に決まった状態で、譜読み期間に入りたいものですね。
お互いのためです。
表も裏も、どっちも弾けるように頑張って練習するよ!
心強い!
でも、周りから「……初見?」って思われない水準で練習しといてね。
んぐぐっ!
じゃあコソ練(コソコソ練習)だ!
divisiが無い曲(あっても少ない曲)や、どちらになってもすぐ対応できる人が多い団体ならば、そこまで急がなくて大丈夫かもしれません。
いろんな席順を試して、最終的なものが決まれば良いんじゃないでしょうか。
たまには席替え!
※他パートと指揮者の了承を得られた場合に限ります
時には、本番と違う席で弾いてみる。こんな練習いかがでしょう。
- ふだん内側で弾いている人が、たまに外側で弾く
- いつも前の人が、後ろで弾いてみる
- divisiの音は、基本的に、ふだん練習している音でOK
いつもとはちょっと違った世界が味わえて、良い刺激になりますよ。
△さんの隣だと自分とは相性良くなさそうだけど、◆さんの隣だと弾きやすい!
●さんの書き込み、すごくわかりやすいですね。
同じ曲を長期間にわたって練習するアマオケだからこそ、できるワザでもあります。
楽しみながらstep up!
ソルフェージュの先生、ヴァイオリンの先生、時々オーケストラと室内楽。
ヴァイオリン弾きのソルフェージュ講師はわりと珍しいようです。指導経験は延べ100人以上。茨城県立水戸第三高等学校音楽科、Y. A. ミュージックアカデミー等で指導にあたる。
「音大受験の1科目」としてのソルフェージュではなく、実際の演奏に結び付くもの、音楽をより楽しめるものを目指しています。あらゆる楽器の生徒さんに対応していますが、得意とするのはヴァイオリンをはじめとする弦楽器。ヴァイオリンを学ぶ人に必要かつ不足しがちなことを、自身の実体験をふまえてレッスンしています。
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