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ミのシャープとファは同じ音・・・じゃない!異名同音ってなに?

2018-05-20ソルフェージュ音律

先生、ミにシャープが付いたら、ファになるんだよね!

この言葉を、子どもたちから何回聞かされたことでしょう。

その度に、同じ説明を繰り返しています。

ミのシャープとファは、違う音なんだよ。

本記事の音名表記について

本記事では便宜上、イタリア語の音名を使用します。
「ミのシャープ=ドイツ音名のEis」「ファ=ドイツ音名のF」となります。

なぜ「ミのシャープ=ファ」と考えてしまうのか?

前述した「ミのシャープ=ファ」論を出してくる子どもには、全員、共通点がありました。

ピアノを習っている子でした。

納得の結果です。
なぜなら、彼らの身に起きているのは、次のような出来事だからです。

  • ミのシャープとファは、使う鍵盤が同じ
  • 鍵盤の場所と音名を結び付けて教わるケースが多い

同じ鍵盤を使うのですから、ミのシャープとファがイコールで結び付いてしまうのも、無理はありません。

Piano

「異名同音」の概念

名前が違うのに同じ音、異名同音

十二平均律(普通のピアノの調律に使う音律)にのみ通用する考え方です。

名前が違うのに同じ・・・ん?
「池畑慎之介」=「ピーター」みたいな感じ?

んー、ちょっと違う気がする。笑

同じ鍵盤を使うなら、ハ長調の音階をこう書いても問題ないんじゃないですかね?

scale_chaos

残念。ちがいます。

上の楽譜みたいに書くと、見た目がめちゃくちゃですね!
なんのこっちゃわからなくなってしまいました(汗)
楽譜を読む側の人が困るやつです。よい子の皆さんマネしないように! 笑


鍵盤を弾いていくと、いちおう、ハ長調と同じ音にはなります。
でも、ひじょーに弾きにくい・・・。

意味不明!

異名同音とは呼ばれますが、同じ音ではありません!!!
たまたま
同じ鍵盤を
弾くだけ

なのです。

「似て非なるもの」ともちょっと違うんだよなぁ・・・。

平均律のピアノで出すには難しい音がある

突然ですが、長調の音階を歌ってみましょう。
どの調性でもかまいません。

何も考えずに「ドレミファソラシド~」って歌えばOKにゃ。

7番目に歌った音の高さを、ピアノの音と比べてみてください。

比べましたか?

歌った音のほうが、鍵盤の音よりも、少しだけピッチが高くなってませんか?
ピアノよりピッチが高いほうが自然です←変テコな絶対音感に毒されてない限り

・・・気にしたことなかった。

よくわからなかったら、7番目の音を、ピアノより意図的に高く歌ってにゃ。

7番目の音に隠されたヒミツ

音階の7番目の音は導音と呼ばれ、音階の1番目(と8番目)の音(=主音)を導く役割を持っています。

導音を少しだけ高くとって主音との距離を狭めると、導音が主音に解決した時のスッキリした感が増して、イイ感じの演奏になります♪

※導音を高くする度合いは、曲が作られた時代によって微妙に変わります。

どの調でも、導音と主音の間が半音になります。
3番目と4番目の音の間も、半音です。

導音を高くとると、「導音ー主音」間の半音と、3番目と4番目の間の半音の幅がちょっと変わります。

…言われてみれば、そんな気がしてきた。

ところが、平均律のピアノで弾くと、この2カ所の半音は、同じ幅になります。

つまり。

音階が平板化する!!!

のです・・・。

あぁ…なんだか残念な感じになっちゃうんですね。

導音を高めにとると、ピアノで表すのは難しい、微妙なピッチの音が表現できます。
そこに生まれる味わい。
微妙な違いを味わって、ワンランク上の音楽表現を楽しみたいものです。

ピアニストにも無関係な話じゃない

ここまで書いてきた微妙なピッチの音の話。
いわばピアノをさんざんdisってきたわけですが、ピアノで全く表現できないわけではありません。
ただ、非常に高度な演奏テクニックなので、このブログで詳しく扱うのは難しいです。

でも、ヴァイオリン弾きの端くれだからこそハッキリ言えることが、一つだけあります。

「声に出して歌ったらピアノで出せないピッチの音になりそうな音」だとわかってピアノを弾いている人と、そうでない人とでは、音の感じが全然違う。

アノ微妙な味わいを、一人でも多くのピアニストと共有できたらなぁと、思い続けています。

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